IT事務からエンジニアへ転職するには?未経験者に必要な学習と職種選び

IT事務(社内ヘルプデスク・データ入力・情報システム部門のサポート業務)からエンジニアへのキャリアチェンジは、20代後半から30代前半にかけて多い相談です。社内システムを使う側として業務知識をすでに持っているため、未経験スタートでも社内SE・運用エンジニアの入り口で評価される側面があります。
当社のキャリアアドバイザーも、IT事務からエンジニア転職を考えている方の相談を多く受けます。社内ヘルプデスクでのトラブル対応経験や、業務システムの仕様変更対応の経験が、応募先で評価される場面が少なくありません。
IT事務からエンジニアに転職するうえでは、目指す職種と現職経験の接続を確認し、在職中の学習と転職活動を並行して進めることが現実的です。社内SEへの異動枠がある企業では、社外への転職より前に社内で動く選択肢を確認するのもひとつの方法です。
この記事では、IT事務からエンジニアに転職する進め方を、職種選び・学習・転職活動のポイントに分けて、当社のキャリアアドバイザー監修のもと解説します。
この記事は、転職エージェント「ノビルキャリア」を運営する私たちが、IT事務からエンジニアを目指す方の支援を行ってきた経験をもとに執筆しています。
阿部 翔大いま動くか迷う段階でも大丈夫です。次の方向を一緒に確認してから動く前提で、ご相談いただけます。


IT事務とエンジニアの違いと年収レンジの差
IT事務とエンジニアの違いを、業務内容と年収レンジの2点から確認します。動き出す前にギャップを把握しておくと、目指す職種の選定がしやすくなります。
業務内容の違い
IT事務は、社内ヘルプデスク、データ入力、業務システムの利用サポート、契約・請求書類の処理、ベンダー対応のサポートなどを担う事務職です。一方、エンジニアは、システムの設計・実装・運用・保守などの技術職で、コードを書く・サーバーを構築する・テスト設計を行うなど、システムを「作る・運用する」側に立ちます。同じ社内ITの現場でも、立場と業務範囲は大きく異なります。
年収レンジの比較
厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」では、職種別の年収目安が公開されています。エンジニア系職種はIT事務より年収レンジが上に位置するケースが多く、長期的なキャリアアップを考えると差が広がりやすい職域です。
| 職種 | 年収目安(厚労省 job tag・全国平均ベース) |
|---|---|
| 一般事務(IT事務含む) | 約300〜400万円台 |
| 運用・管理エンジニア | 約400〜500万円台 |
| システムエンジニア(業務用システム) | 約500〜600万円台 |
| プログラマー | 約400〜500万円台 |
※厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」掲載の職種別年収を参考に作成。実際の年収は経験年数・企業規模・地域により大きく変動します。
働き方・キャリアパスの違い
IT事務は定型業務が中心で残業が少ないケースが多い反面、長期的なキャリアアップの幅が限られやすい職域です。一方エンジニアは、リリース前後の繁忙やトラブル対応の負担はある一方、経験を積むことで職種展開(社内SE→PM、運用→SRE、開発→アーキテクト等)の幅が広がります。働き方とキャリアの伸びしろのバランスを踏まえて、移行の方向を確認しましょう。
IT事務経験がエンジニア転職で活きる場面
「ただの事務だから何も活かせない」と考える必要はありません。IT事務で身につけた経験はエンジニア職の現場でも評価される要素が複数あります。
業務システムの利用・運用経験
ERP・販売管理・勤怠・経費精算・顧客管理(CRM)など、業務システムを毎日使ってきた経験は、業務系SE・社内SEの応募で評価されます。「どの業務でどのシステムをどう使ってきたか」「設定変更やマスタ登録などの運用補助を担当したか」を職務経歴書に書けると、業務知識を持つ即戦力候補として見られやすくなります。
社内ITサポート・ヘルプデスクでのトラブル対応経験
社員からのPC・ネットワーク・ソフトウェア利用のトラブル相談に対応してきた経験は、ヘルプデスクエンジニア・運用エンジニア・社内SEの一次受け業務で直接活きます。「障害発生時にどう切り分けたか」「ベンダーとの連携をどう進めたか」を具体的に書けると、応募先の現場で再現できる経験として評価されます。
マニュアル作成・ドキュメント力
業務手順書、システム利用マニュアル、ベンダーとの連絡記録など、ドキュメントを作る経験が豊富な方は、要件定義書・運用手順書・テスト仕様書の作成で重宝されます。エンジニア組織で「書ける人」は意外と少なく、文書化スキルは選考の差別化要素になります。
仕様変更・改善提案の経験
業務システムの仕様変更要望をベンダーに伝えたり、社内業務フローの改善を提案した経験は、社内SEの要件定義業務に近い経験です。「現場の課題」を「システム要件」に翻訳する経験を持っている方は、未経験スタートでも上流寄りの業務に配属されやすくなります。


IT事務から目指しやすいエンジニア職種
IT事務から目指しやすい職種を、業務内容・入口ハードル・学習量の観点で4つ確認します。職種により必要な学習と進め方が異なるため、自分に合う方向を確認したうえで動き出すのがおすすめです。
社内SE(事業会社のIT部門)
事業会社のIT部門で、社内システムの企画・運用・ヘルプデスク・ベンダー管理などを担当します。IT事務経験者にとっての最短ルートで、業務知識をそのまま活かせる職域です。求人母数は多くないため、エージェントを通じた求人探しが現実的です。社内SEの実情・キャリアパスは下記の記事もあわせてご参照ください。
インフラエンジニア(運用→構築)
サーバー・ネットワーク・クラウドの運用・構築を担う職種です。運用・監視からスタートして構築・設計に進むキャリアパスが一般的で、社内ITサポート経験者からの転身ルートが確立しています。CCNA・LinuC・AWS認定などの資格で学習成果を示しやすく、ポートフォリオ要件も緩めです。インフラエンジニアの転職エージェント比較は下記の記事をご参照ください。
QA・テストエンジニア
ソフトウェアの品質保証を担う職種で、テスト設計・テスト実行・バグ報告などを行います。プログラミングの深い知識がなくても入りやすく、IT事務経験者からの転身がしやすい職種です。テスト自動化スキルを身につけることで、QAエンジニアとしてのキャリア発展も可能です。
RPAエンジニア
UiPath・WinActor・Power Automate等のRPAツールを使い、業務の自動化を担当します。IT事務での業務知識(どこを自動化すべきかが分かる視点)を活かせる職種で、プログラミングの深い知識がなくても入れる点が特徴です。今後の業務自動化ニーズに伴い、RPA経験者は事業会社の業務改革ポジションへの展開も可能です。
IT事務からエンジニアになる進め方
IT事務からエンジニアになる進め方を、4ステップで解説します。エンジニアになるまでの総論は、「エンジニアになるには?未経験からの転職方法」もあわせてご参照ください。
STEP1:社内SEポジションへの異動希望を確認する
社内SEの枠がある企業では、まず社内異動の可能性を確認するのが最短ルートです。IT事務でのヘルプデスク経験は社内SE業務に近く、社内なら業務知識をそのまま活かせて、年収・働き方のギャップも少なくなります。社内に異動枠がない場合や、IT部門の規模が小さい場合は、社外への転職にステップを進めましょう。
STEP2:在職中に学習を始める
職種別の学習内容は次のとおりです。社内SE志望ならITIL(IT運用管理)・基本情報技術者などの資格、インフラエンジニア志望ならLinux・ネットワーク・クラウド(AWS等)の基礎学習、QA志望ならテスト技法の知識、RPA志望ならUiPath等の操作演習、というように方向ごとに必要な学習が変わります。在職中の学習は1日1〜2時間が現実的なペースです。
STEP3:資格取得とポートフォリオの準備
IT事務からの転職では、Webエンジニアほど大規模なポートフォリオは必須ではない場合が多く、資格でも学習成果を示せます。基本情報技術者(IT全般)、CCNA(ネットワーク)、LinuC(Linux)、AWS認定クラウドプラクティショナー(クラウド入門)などが書類選考での評価につながります。Webエンジニアを目指す場合のみ、簡単なオリジナルアプリのポートフォリオが必要になります。
STEP4:エージェント活用での求人選定
応募段階では、IT特化型エージェントと大手総合型エージェントを併用するのが現実的です。未経験向け求人のうちどれが安心して応募できるかを、エージェントとの面談で確認します。求人票・契約形態・配属案件の見え方を確認したうえで応募することで、1社目の選び方でつまずきません。未経験からのエンジニア転職のエージェント比較は下記の記事もご参照ください。



IT事務経験のある方は、社内SE・インフラ運用での入り口が思っているより広いです。職務経歴書に「使ってきたシステム名」「対応したトラブル例」「改善提案の経験」を書けると、書類段階の通過率がぐっと上がりますよ。


IT事務からエンジニアに転職するための資格
職種別に評価される資格と、未経験から取り組みやすい学習リソースを確認します。資格は「あれば必ず通る」ものではありませんが、学習継続の証明として書類段階の通過率に影響します。
基本情報技術者(IT全般の知識を示す入門資格)
IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験で、IT全般の知識を体系的に証明できます。社内SE・運用エンジニア・QAなど、職種を問わず書類選考で評価される資格です。学習期間は3〜6か月が目安で、IT事務経験者にとっては取り組みやすい内容です。
CCNA・LinuC(インフラエンジニア志望者向け)
CCNAはネットワーク機器ベンダーCisco社のネットワーク基礎資格、LinuCはLinux技術者の認定試験で、いずれもインフラエンジニアの求人で評価される定番資格です。両方を取得することで、未経験からインフラエンジニアへの応募で書類選考の通過率が上がります。
AWS認定クラウドプラクティショナー(クラウド入門)
AWS(Amazon Web Services)の入門資格で、クラウド全般の知識を証明できます。クラウド需要が高まる中、未経験からインフラ・運用エンジニアを目指す方には実用度の高い資格です。学習期間は1〜3か月が目安で、オンライン学習リソースも豊富です。
ITIL ファンデーション(社内SE志望者向け)
IT運用管理の世界標準フレームワークで、社内SE・運用エンジニアの応募で評価されます。ヘルプデスク業務やインシデント管理の経験を、フレームワーク用語で説明できるようになる点が選考での強みになります。
独学で使える学習リソースリスト
- Progate・Udemy:プログラミング・クラウドの動画学習
- AWS公式トレーニング・AWS Skill Builder:クラウド基礎
- YouTube公式チャンネル:各種ベンダー公式の入門動画
- IPA公式:基本情報技術者の試験範囲・サンプル問題
- 公式ドキュメント:Linux/Cisco/AWS等の公式マニュアル
IT事務からエンジニア転職でつまずきやすい点
IT事務からエンジニア転職を進めるうえで、見落としやすい注意点を確認します。動き出す前に把握しておくと、入社後のミスマッチを減らせます。
年齢別の難易度
未経験での転職は20代までが動きやすく、30歳以降は求人母数が減ります。30代後半以降の未経験転職はかなり難易度が上がるため、20代のうちに動き出すのが現実的です。30代の場合は、IT事務での業務経験を活かせる社内SE・運用エンジニアに絞ってアプローチするのが有効です。
1社目の選び方(SES/自社開発の見極め)
未経験から入りやすい求人にはSES(準委任契約による客先常駐)が含まれますが、案件配属が決まるまで担当業務が見えず、配属後の経験が偏るケースがあります。求人票で配属先候補や契約形態が見えるか、エージェントとの面談で求人票の見方を確認したうえで応募することが重要です。
年収ダウンを伴うケース
未経験スタートのエンジニア職は、IT事務時代より年収が一時的に下がる場合があります。社内SE・運用エンジニアでは年収維持・微増のケースもありますが、SES案件配属では年収が下がることも珍しくありません。生活設計とのバランスを踏まえて、応募先の年収レンジを面接段階で確認しましょう。
学習継続のハードル
プログラミング・インフラ・クラウドの学習は、3か月から半年の継続が必要です。在職中の学習は1日1〜2時間が現実的で、計画立てと進捗管理がポイントになります。学習が止まると転職活動も停滞するため、無理のないペース設定が大切です。
IT事務からエンジニアへの転職に不安がある方は当社へご相談
当社は、株式会社MEDISITEが運営する20代向けの転職エージェントです。これまで10,000名以上の転職をサポートしており、内定承諾者の平均年齢は24.7歳、支援者の約85%が20代という実績があります。学歴や経歴に不安を抱える方の支援を得意としており、IT事務からエンジニアを目指す方への面談も日々お受けしています。
IT事務からエンジニアを目指す方の面談では、現職で関わってきた業務システム・ヘルプデスク・情シスサポート業務の棚卸しから始めます。社内ITに触れている経験は、社内SE・運用エンジニア・ヘルプデスクからのキャリアアップにそのまま接続できるためです。
当社の支援実績
実際の面談で行っていること
IT事務出身の方向けの面談では、社内IT業務をエンジニア職に接続して言語化することを大切にしています。当社のキャリアアドバイザーは、面談で次のような支援を行っています。
- 現職の業務(業務システム利用・ヘルプデスク・仕様変更対応・データ集計など)の棚卸し
- 目指す職種(社内SE/インフラ/QA/RPA)に合わせた職務経歴書の書き方
- 学習計画・資格取得計画、1社目の選び方までの個別アドバイス
当社が向いている方
- 20代でIT事務(社内ヘルプデスク・情シスサポート等)からエンジニアを目指したい方
- 現職の社内IT経験をどう翻訳すればよいか相談したい方
- プログラミング学習を始める前段階で、目指す職種を確認したい方
- 東京・大阪・神奈川・愛知などの主要都市での就業を考えている方
当社が合わない可能性がある方
年収700万円以上のシニアエンジニアやインフラアーキテクト求人を中心に検討したい方、35歳以降の経験者の方は、レバテックキャリアやJACリクルートメントなど経験者向け・ハイクラス特化のサービスの方が候補が広がる場合があります。



IT事務の方は、社内ヘルプデスクや業務システムの担当経験を「使う側」から「作る・運用する側」にどう翻訳するかが選考の鍵になります。日々の業務で触れているシステム名・運用フロー・改善提案などを職務経歴書に書けると、書類段階で大きく印象が変わりますよ。


IT事務からエンジニア転職についてキャリアアドバイザーによくある質問
Q. プログラミング経験がなくてもエンジニアになれますか?
A. はい、職種を選べばプログラミング経験ゼロからエンジニアになれます。社内SE・インフラエンジニア・QA・RPAエンジニアなどは、コードを書く頻度が低い職種で、IT事務経験を活かしやすい入口です。Webエンジニア・アプリエンジニアを狙う場合は、独学またはスクールでプログラミングを学ぶ必要があります。
Q. 30代のIT事務でも未経験からエンジニア転職は可能ですか?
A. 20代と比べると難易度は上がりますが、可能です。30代では、IT事務で身につけた業務知識・ヘルプデスク経験・仕様変更対応の経験を活かして社内SE・運用エンジニア・QAなどを狙うのが現実的です。年齢が上がるほど、前職経験との接続で勝負する形になります。
Q. 資格は必須ですか?
A. 必須ではありませんが、書類選考の通過率に影響します。職種別に、基本情報技術者(IT全般)、ITIL(IT運用管理)、CCNA(ネットワーク)、LinuC(Linux)、AWS認定(クラウド)などが評価されます。在職中の学習で1つ取得できると、応募先での印象が変わります。
Q. 年収はどれくらい下がりますか?
A. 職種と応募先により幅があります。社内SE・運用エンジニアでは年収維持・微増のケースもあり、SES案件配属では一時的に下がることもあります。「未経験スタート3年で年収450〜500万円」が現実的なレンジで、長期的にはIT事務時代より上昇しやすい職域です。
Q. 社内SEへの異動と社外への転職、どちらを優先すべきですか?
A. 社内SEの異動枠があるなら、まず社内で動くのが最短ルートです。業務知識をそのまま活かせて、年収・働き方のギャップも少なくなります。社内に異動枠がない、IT部門の規模が小さい、人事面談で異動が難しいと判明した場合は、社外への転職に切り替えるのが現実的です。
Q. ポートフォリオは必要ですか?
A. 職種により異なります。社内SE・インフラ・QA・RPA志望ならポートフォリオは必須ではなく、資格や学習履歴で代替できます。Webエンジニア志望のみ、簡単なオリジナルアプリのポートフォリオが書類選考で求められます。


まとめ|IT事務からエンジニア転職を成功させるために
IT事務からエンジニアへの転職は、社内IT業務での経験を活かせる職種を選び、在職中の学習と転職活動を並行して進めることで現実的に達成できます。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- IT事務からの転職で目指しやすい職種は、社内SE・インフラエンジニア・QA・RPAエンジニアの4種
- ヘルプデスク・業務システム利用・マニュアル作成などの経験は、エンジニア職で評価される要素になる
- 社内SEの異動枠があるなら、まず社内で動くのが最短ルート
- 在職中の学習+資格/ポートフォリオ+エージェント活用で進めるのが現実的
- 30代以降は社内SE・運用エンジニアに絞ってアプローチするのが有効



IT事務でのご経験は、思っている以上にエンジニア職への足がかりになります。「いま動くか迷っている」段階でも、まずは話を聞かせてください。一緒に方向性を確認できれば、選択肢は広がりますよ。
運営者情報
| メディア名 | ビギナーズリンク |
| 運営会社 | 株式会社MEDISITE |
| 代表者 | 竹田津 惇 |
| 所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿8丁目5-4 STビル701 |
| 設立 | 2022年11月 |
| 事業内容 | HRメディア事業・SNSマーケティング事業・営業支援事業 |
| 許認可 | 有料職業紹介事業(13-ユ-316383) |

