「社員も、まわりの人もハッピーにしたい。」会社が伸びれば、社員の挑戦も、地域にできることも増えていく。株式会社ステップ・中野社長の会社づくり

宝飾品やフィギュア、楽器など、大切な商品を展示するために使われるショーケース。
株式会社ステップは、長年にわたってショーケースの製作・施工や展示会の会場づくりに携わってきた会社です。既存のお客様との長い関係を持つ一方、近年はWebマーケティングにも力を入れ、ジュエリー以外の用途からも問い合わせが増えているといいます。
現在、同社を率いるのが中野聖二郎社長。もともとは別の会社で営業や東京拠点の立ち上げを経験し、35歳の頃、M&Aをきっかけにステップの経営を任されました。
外から来た新しい社長と、長くステップで働いてきた社員たち。当然、最初から考え方が一致していたわけではありません。それでも、会社について話し合う場を増やし、社員自身が「会社をもっと良くするために何ができるか」を考えられる組織へと少しずつ変えてきました。
中野社長が会社の成長にこだわるのは、単に規模を大きくしたいからではありません。自身が、会社の成長とともに新しい仕事や役割を任されてきたからこそ、社員にも同じように挑戦できる機会を増やしたいと考えています。
ステップが受け継いできた仕事の強みと、そこに加えた新しい取り組み。そして、これからどんな人と会社をつくっていきたいのかを詳しく伺いました。
株式会社ステップ
代表取締役 中野 聖二郎
イベント・展示会関連の会社で営業を経験し、東京拠点の立ち上げにも携わる。その後、M&Aをきっかけに株式会社ステップの経営を任され、35歳で代表へ就任。既存事業の強みを生かしながら、Webマーケティングや組織づくりなど新しい取り組みを進めている。
兄に誘われて入った会社で、初めて「会社が伸びる面白さ」を知った
編集部中野社長は、最初から経営者を目指していたわけではなかったんですよね。



全然ですね。学生の頃は結構フラフラしていて、四国を一周したりしていました(笑)。21歳くらいで一度営業の仕事に就いたんですけど、飛び込み営業もあって、仕事もハードで、休みも少ない。気持ちが折れて辞めてしまったんです。



そこから、もう一度仕事に向き合うきっかけになったのは何だったんでしょう?



実家が奈良でイベント関係の会社をやっていて、当時は従業員5人くらいの小さな会社だったんですけどね。25歳くらいのときに父が亡くなって、その頃に兄から「一緒にやらないか」と誘われたんです。



お兄さんから…!



当時はまだ小さな会社だったんですけど、「ニューヨークに支店を出す」「世界中から認められる会社をつくる」といった話をしていて。当時の会社の規模からすると、考えられないくらい大きな話でした。でも、「それに力を貸せるなら」と思って入社したんですよ。そこで5年くらい営業をして、その後、東京の拠点を任されることになりました。



おぉ…!すごいじゃないですか!



最初はもう大変でしたよ。未経験の人を採用して、トラブルもたくさんあって。でも、2年くらいするとだんだん人も増えて、チームになっていきましたね。



ゼロに近い状態から、拠点そのものをつくっていったんですね。



はい。めちゃめちゃ大変でしたけど、めちゃめちゃ面白かったですね。今でも当時のメンバーと飲むと、その頃の話で盛り上がります。会社自体もすごい勢いで伸びていて、僕自身もそこでいろんな経験をさせてもらいました。
知らない会社の「新社長」に。そこから始まった組織づくり



そこから、いまの株式会社ステップの社長になるというのは、かなり大きな転機ですよね。



そうですね。きっかけとしては、M&Aの話をいただいたんです。ステップの前代表が高齢になっていて、「若い力で会社を伸ばしてほしい」という話があって。35歳くらいのときですね。



それまで働いたこともない会社へいきなり社長として入るって、すごいことですね。



そうです。知らない会社に行って、30人くらいの従業員の前で「新社長です」と挨拶するわけですからね。最初は「安心と希望」というテーマで話した記憶があります。今までやってきたことを全部変えるわけじゃないから安心してください。その上で、新しいこともやって、もっと会社を発展させていこう、という話をしました。



とはいえ、それまでの会社とは価値観も仕事の進め方も違いますよね…。



全然違いました。僕がいた会社は、良くも悪くも「言われたことだけやるな」という文化だったんです。自分からどんどんやるのが普通だったんですね。でもステップへ来たら、当時は「自分は言われた仕事をやります。会社のことは会社のことです」という感覚の人も多かった。正直、「なんでやらへんのやろ」とは思っていました。



中野社長にとっての「普通」を、そのまま求めてもうまくいかなかったと。



そうですね。こっちからすれば「なんでやらへんのや」と思う。でも社員からすれば、「なんで急にそんなことを言われなあかんのや」という感じやったと思います。だから僕自身も、もう一回経営を勉強しました。経営理念やビジョン、方針を考え直して、「経営者ってどうあるべきなんだろう」というところからやり直しましたね。



そこから、社員の皆さんにも会社づくりに関わってもらうようになったんでしょうか?



はい。それまでは、基本的に日々の業務をやる会社だったんです。営業なら営業する。現場なら現場へ行く。それで一日が終わる。でも、それだけだと毎日の仕事を回しているだけになってしまう。だから、これから会社をどうしていくのかを考える時間も必要だと思ったんです。そこで普段の業務とは別に会社について考える場として、採用やブランディング、健康推進など、いろいろな委員会をつくって、社員にも入ってもらうようにしました。話し合う場もかなり増えて、その結果、もともと「会社のことと自分のことは別」「言われたことをやればいい」という感じだった人が、今では僕の右腕みたいな存在になっています。それで前に、「なんでそんなに変わったん?」と聞いたことがあるんですよ。



その方は、何と答えたんですか?



「社長にやっていいと言われたから」って。それを聞いて、「あぁ、今までは、やったらあかんと思ってたんやな」と気づきました。僕が「好きにしていいよ」と言ったことで、「本当に好きにしていいんだ」と思えるようになった。そのうち、会社のことを自分のこととして考えるようになってくれたんだと思います。



「主体的に動いてほしい」と言うだけではなくて、実際に任せることも必要だったんですね。



結局は、経営者の姿勢なのかなと思います。どれだけ理念を掲げても、経営者が本気で思っていなかったら、社員は反応してくれません。社員って、普段の姿勢をめちゃめちゃ見ていますから。「本当にこの会社を良くしようと思ってるの?」っていうところですよね。
長年培ってきたショーケースの技術に、Webマーケティングを掛け合わせる





ステップさんの主力事業の一つが、ショーケースですよね。もともとはガラスの会社だったと伺いました。



そうですね。創業から長い会社で、もともとはガラスの施工をやっていました。そこから「ガラスケースも作ろうか」となって、何十年も続いてきた事業です。長いお付き合いのお客様も多いですし、ショーケースを専門的にやっている会社自体がそこまで多くないので、安定して仕事をいただける基盤があります。



中野社長が社長になってから、新規のお客様への広げ方も変えたんですよね。



かなり変わりましたね。もともとステップは、すごく良い仕事をする会社なんですよ。ベテランも多いし、「商品をきれいに見せよう」「いい会場をつくろう」という意識も高い。業界からの評価も高かった。ただ、新しいお客様を取るのが苦手だったんです。



技術や実績はあるのに、まだ知られていない層がいた。



そうです。そこで、以前の会社でやってきたWebマーケティングを持ち込みました。「ショーケースはジュエリーにしか使えないわけじゃない」ということを発信していったら、フィギュアや楽器など、いろいろな用途の問い合わせが来るようになったんです。今では、月に100件以上問い合わせをいただくこともあります。



ステップがもともと持っていた強みに、新しい集客方法が加わったんですね。



そこはM&Aがうまくいった理由の一つだと思います。ステップが持っていたサービスの力と、こちらが持っていたWebマーケティングの力。その2つがうまく合わさったんだと思いますね。



ただ、中野社長は「ショーケースを納品すること」そのものが仕事の目的ではないとも考えているんですよね。



そうなんです。たとえばジュエリーの展示会に、ご夫婦が来られるとしますよね。結婚30周年、50周年で、ご主人が奥さんにジュエリーをプレゼントする。「君がいてくれたから、俺の人生は幸せだった」と言って渡したら、奥さんは泣いてしまうかもしれない。そういう瞬間に、僕たちの仕事も関わっているんだと思うんです。単にショーケースを現場へ持っていって、設置して終わりではない。そこで何が起きているのかまで考えると、仕事の見え方も変わりますよね。
会社が伸びれば、社員が挑戦できる仕事も増えていく





中野社長は会社を「発展させ続けたい」と話されていますが、単に売上や規模を大きくしたい、ということではないんですよね。



そうですね。僕自身が、常に会社が伸びていく中で成長させてもらったので…。会社が成長していなかったら、東京の拠点を任されたり、人材育成をしたり、経営者とたくさん会ったり、今まで経験したことのない仕事はできなかったと思うんです。



会社に新しい仕事が増えたからこそ、中野社長自身にも新しい役割が回ってきた。



そうです。会社がずっと同じ規模だったら、役職も増えないし、新しい拠点もできないじゃないですか。「今まで通りでいい」と考えた瞬間から、その先がなくなると思っています。



社員にも、自分が経験してきたような機会を増やしたいということですね。



そうですね。それに、会社に力がつけば、社員だけではなくて、できること自体が増えていくじゃないですか。たとえば今、社会貢献として子ども食堂のスポンサーもしていますけど、もっと会社に力がつけば、さらにできることも増える。会社に力があるほど、社員にも、お客様にも、地域にもできることが増えていくんです。だから、社員もまわりの人もハッピーにしたかったら、会社を発展させ続けるしかないと僕は思っています。
「スキルは2の次」一緒に会社を良くしていける人と働きたい





これから会社を伸ばしていくために、いまは採用にも力を入れているんですよね。



そうですね。特にWebと施工です。Webで仕事を増やしても、実際に現場を支える人がいなかったら限界が来ます。逆に現場の人数だけ増えて、仕事が増えなければそれも苦しい。その両輪のバランスはすごく大事ですね。



施工の仕事は、未経験でも挑戦できるんでしょうか?



全然できます。イベントや展示会の仕事って、特別な資格がないと絶対できないというものではないんです。もちろんWebなどは専門性もありますけど、基本的には入ってから身につけてもらえることも多いと思っています。



だからこそ、採用でも経験だけを見ているわけではない、と。



人間性重視ですね。スキルや経験は、働きながら身につけられますから2の次です。それより、周りの人を大切にできるとか、「会社をもっと良くしたい」という考えに共感してくれるとか、一生懸命努力できるとか。そういう人に来てもらいたいですね。



一方で、ただ周りに合わせるだけではなく、仕事では意見をぶつけることも必要、というのが中野社長のお考えですよね。



そうです。僕の中で「いい人間関係」って、ただ仲良く挨拶している関係じゃないんですよ。きちんと議論して、本音で話せる。それでも関係性は良い。そういう関係をつくれる人は強いと思っています。



考えるだけでなく、実際に動けることも大切になりそうですね。



そこも大事ですね。「やります」と言って、ずっと計画だけ立てて動かない人は、なかなか結果が出ない。やると決めたら、明日、明後日、3日以内には何か形にするくらいのスピード感を持てる人は成長していくと思います。そういう人だったら、ステップだけじゃなく、どこへ行ってもやっていけそうですけどね。



長く続いてきたショーケース事業の強みを残しながら、Webマーケティングで新しいお客様との接点を増やし、社内では社員自身が会社づくりに関われる場をつくる。中野社長自身、会社が成長する中で新しい役割を任され、さまざまな経験を積んできました。だからこそ、社員にも挑戦できる機会を増やし、会社に力をつけることで、お客様や地域にもより多くの価値を返していきたいと考えています。「社員やまわりの人をハッピーにしたかったら、会社を発展させ続けるしかない」。その言葉には、会社の成長を、自分たちだけのためではなく、関わる人たちの幸せにつなげていきたいという中野社長の思いが込められていました。中野社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
株式会社ステップ_採用情報

