「環境があれば、人は変われる。」Kurumi株式会社・銀屋社長が、未経験者と一緒に会社を育ててきた理由

「僕が未経験の頃は誰も助けてくれなかった。だったら、支えてくれる人が一人いるだけでも違うんじゃないかと。」
そう振り返るのは、Kurumi株式会社の代表取締役・銀屋サトシ社長です。
20代の頃は、ウェディングの音響・照明・映像に関わる仕事を中心に、さまざまな仕事を経験。その後IT業界へ入り、入社から約2年半で会社を立ち上げました。
創業時に一緒に働き始めたメンバーの中には、デザイン系の専門学校を中退し、当時はフリーターだった未経験者もいたそうです。
「やりたい」という気持ちを受け止め、仕事を任せ、経験を積める環境をつくる。そのメンバーは後に、クリエイターとして仕事の幅を広げていったといいます。
現在のKurumi株式会社は、Web制作や運用保守を軸に、動画制作やマーケティング支援まで事業を展開。次に銀屋社長が考えているのは、自分が蓄積してきたノウハウを次の世代へ渡していくことです。
未経験からWeb業界へ入り、会社をつくり、人を育ててきた銀屋社長に、これまでの歩みと、これから一緒に働きたい人について伺いました。
Kurumi株式会社
代表取締役 銀屋 サトシ
20代はウェディングの音響・照明・映像に関わる仕事を中心に、さまざまな職種に携わる。その後IT業界へ転身し、Web関連のディレクション業務などを担当。IT業界へ入って約2年半後の2014年にKurumi株式会社を設立。現在は300社以上のWeb制作・運用保守を軸に、動画制作やマーケティング支援など幅広く手がけている。
Webとは別の仕事からIT業界へ。約2年半で会社を立ち上げた

編集部現在、御社ではWeb制作を中心にされていますが、銀屋社長はもともとIT業界一本でキャリアを積んできたわけではないんですよね?これまでの歩みから伺ってもよろしいでしょうか。



そうですね。20代はウェディングの音響・照明・映像のオペレーターやプランナーを足掛け7~8年ほど軸にしながら、いろいろな仕事を掛け持ちしていました。その後、Webの仕事をやりたくて、未経験でITの会社に入ったんです。ただ、入社してすぐに希望していたWeb案件に入れたわけではなくて…。最初は雑用系の仕事も多くて、本格的にWebに携わるようになったのは1年くらい経ってからでしたね。



やりたい仕事にたどり着くまで、少し時間がかかったんですね。



そうなんです。当時はWeb系の案件自体が少なくて、ガッツリ開発系の案件の方が多かったんです。なので「まずはこっちをやってみて」と言われることもありました。でも今振り返ると、テスト案件から始めて、最終的にはディレクターのポジションやリーダー職にも携わり、幅広く経験できたことで基盤をつくってもらえたと思っています。そこはありがたかったですね。



いろいろな案件を担当されていたんですね。その後、入社から約2年半で起業されたそうですが、どんなきっかけがあったんですか?



もともとは、フリーランスになろうと思っていたんです。でも「一緒にやりたい」と言ってくれるメンバーが何人か出てきたので、「じゃあ会社をつくろうか」という感じで始まりました。
「会社でできないなら、自分でやろう」。独立へ動いたきっかけ





そもそも、フリーランスになろうと思ったのはなぜだったんでしょう?



最初は、そのIT会社にずっといるつもりだったんですよ。ただ、会社に仕事を任せてもらう以上、どうしてもマネジメントに依存する部分がありますよね。自分が進みたい方向と会社の方向がずれてしまえば、やりたいことを我慢する期間が出てきたり、生活面を犠牲にしなければならなかったりする。それはちょっと違うなと思うようになりました。



何か、そう考えるようになったきっかけがあったんですか?



いろいろありますけど、ちょうどその頃、個人的に「Webサイトをつくってほしい」と頼まれたことがあったんです。会社と揉めたくなかったので、無償でつくりました。でも、そういう依頼があるなら需要はあるじゃないですか。もともとWebをやりたくてこの業界に入ったので、それを取りこぼすのはもったいないなと思ったんです。



なるほど。個人的に依頼を受けたことも、独立を考えるきっかけになったんですね。ちなみに、その仕事って会社で引き受けることもできたんでしょうか?



実は提案をしたのですが、なかなか決裁が通らなくて。それなら、自分でやった方がいいんじゃないかと思いました。自分でやれば自己責任ですし、その方が自分の人生らしいなとも思ったんです。



そういう経緯だったんですね。それで独立することを伝えた時、会社の方々はどんな反応だったんでしょうか?



すごく応援してもらいました。「潰れないためには、ここはこうした方がいい」とか、「ここはまだ詰めが甘いよ」とか、独立前にちゃんと時間も取って頂いて丁寧に教えてくれたんです。すごくありがたかったですね。
「自分と重なった」。未経験のメンバーを迎えた理由



先ほど、独立を考えていた時に「一緒にやりたい」と言ってくれるメンバーがいたとおっしゃっていましたが、どんな方たちだったんですか?



技術を持っているメンバーもいましたが、まったくの未経験の子もいましたね。その未経験の子は、デザイン系の専門学校を中退して、当時はフリーターをしていて。僕が「独立しようかな、会社をつくろうかな」なんて話をしていたら、ある日、その子と遊んだ帰りの電車の中で突然「銀屋さん、私やりたいです」って言われたんですよ(笑)。



そんな風に言ってくれるの、うれしいですね…!でも、経験のない方を迎えることに、不安はありませんでしたか?



その子を見ていて「もったいないな」と思ったんですよね。



そんな風に言ってくれるの、うれしいですね…!でも、経験のない方を迎えることに、不安はありませんでしたか?



はい。自分も20代の頃は職を転々としていた時期があったので、自分と重なったんです。本人はもがいていて、やりたい気持ちもある。でも、僕が未経験の頃は誰も助けてくれなかった。だったら、支えてくれる人が一人いるだけでも違うんじゃないかと思ったんです。



ご自身の経験もあって、応援したいと思われたんですね。実際には、どのように仕事を覚えてもらったんでしょう?



アルバイトから始めてもらって、経験を積んでから正社員になってもらいましたね。ちなみに最初はデザイナー志望だったんですが、本人が動画をやりたいと言ったので、途中から動画クリエイターに変わったんですよ。その後は誰もが知っている大きな案件にも携わるようになりました。結局、その子はガッツも根性も持っていたんです。だから「環境だけだったんだろうな」と思いましたね。
「顧客満足度」ではなく「会社生存率」。



では、現在のKurumi株式会社では、どのような事業を手がけているのか、改めて具体的に教えてもらってもいいでしょうか?



Web制作と運用保守が軸ですね。お客様によっては動画制作もしますし、マーケティング全般のご相談を受けて、顧問のWeb担当のような形でサポートすることもあります。ホームページを月額制で提供するサービスも、創業当初からかなり早い段階で始めていたんですよ。



月額制のサービスも、創業当初から取り組まれていたんですね。当時はまだ珍しかったんじゃないですか?



そうですね。他のWeb会社から「何をふざけたことやっているの?」と言われることもありました(笑)。でも、いずれはこういうサービスが広がるだろうと考えていたんです。実際、今では月額制のホームページ制作もずいぶん増えましたよね。



確かに、今では珍しくなくなりましたよね。そうした中で、御社にはどんな相談が寄せられるんですか?



「今は他社にお願いしているものの、うまくいっていない。」という方からのご相談が多いですね。月額制のサービスを始める会社は増えましたが、中には十分なノウハウを持たない会社もあって、依頼したお客様が困ってしまうこともあるんです。 そこで、ホームページの月額サービスを見直す相談窓口をつくったんです。言ってみれば、ホームページのセカンドオピニオンですね。そうしたお客様とは、長いお付き合いになることも多いんですよ。



ホームページをつくるだけでなく、その後も継続して支えているんですね。そうした仕事を進めていく中で、特に大切にしていることは何でしょうか?



弊社では「会社生存率95%以上」を掲げています。顧客満足度が高くても、それがお客様の売上や事業の継続につながっているとは限りません。僕たちが大切にしているのは、単に満足してもらうことではなく、お客様の事業が続いていくことなんです。その結果として、長くお付き合いできる関係を築いていきたいと思っています。
自分のノウハウを、次の世代へ渡す段階に来ている





お客様を長く支えていくためにも、今後は会社としてどのような体制をつくっていきたいと考えていますか?



今は、自分が持っているノウハウを次の世代に引き継いでいく段階だと思っています。僕のアシスタントというか、「弟子」に近いポジションの人を迎えて、少しずつ仕事を任せていきたいんです。例えば、任せられる人が3人いれば、それぞれ100件ずつ担当するような形もつくれる。今後1000件、2000件と対応していこうと思ったら、僕一人ではできませんから。



仕事を任せられる人を増やしていきたいんですね。そのうえで、これからの採用についてはどのように考えているのでしょうか?



最近、27卒や28卒の学生さんと話す機会が多くて、「この子たちはどんな会社を求めているんだろう」と考えるようになりました。これから会社をつくっていくのは、その子たちでもあると思うんです。僕が「うちはこういう会社だから」と全部決めてしまうのではなく、本人たちの意見も聞きながら、いろいろ試してみたいんですよね。



入社する方たちの意見も、会社づくりに取り入れたいということですね。その先のキャリアについては、どのように考えているんでしょう?



本人が何をしたいかによりますね。将来、自分で会社をつくりたいという人がいてもいいと思っています。僕自身、前の会社を独立する時に、役員の方々も含めて応援してもらったので、今度は自分が同じことをしてあげたいという気持ちもあるんです。もちろん、長く会社で働きたいという人がいれば、それも応援したい。どうすれば給与を上げられるか、どんな仕事を任せていくか、それも、一緒に考えられればいいと思っています。



独立する人も、長く働く人も、それぞれの希望を大切にしたいんですね。



そうですね。ライフステージだって変わりますから。例えば、育休などで仕事を離れることになっても、他のメンバーと担当を分け合えるようにしておけばいいですし、復帰した時には仕事量を調整することもできると思います。5年後、10年後にどうなっているかはわかりません。だから、最初から全部決めすぎず、その時々に合わせて考えていければいいですね。



銀屋社長は、創業時にも未経験の方を迎え、仕事を通じて成長できる環境をつくってきました。そして今は、自分が培ってきたノウハウを次の世代へ渡しながら、一人ひとりが望む働き方も大切にしようとされています。Webとは異なる仕事からIT業界へ飛び込み、独立する時には周囲の人たちに支えられてきた銀屋社長。今度は自分が、誰かの挑戦を支える立場になろうとしていることが印象的でした。経験がないからと可能性を決めつけるのではなく、まずは挑戦できる環境をつくる。そして、一人ひとりの成長に合わせて、会社も変わっていく。銀屋社長のお話からは、人と一緒に会社を育てていこうとする姿勢が伝わってきました。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
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