「AIに決めてもらっている場合じゃないんです。」 株式会社LifeLab・志賀社長が、25歳で人生と向き合い、キャリア支援事業と整体事業に至るまで 

進路に迷ったら、AIに相談する。返ってきた答えが、そのまま自分の結論になっている…。そんな経験、ありませんか?

株式会社LifeLabの志賀香織社長は、「AIに決めてもらっている場合じゃないんです」と言います。「もちろんAIを活用することは悪いことではありません。私も推奨しています。ただ、”選択し、意思決定する”のは自分自身であることは間違いなく大切なことです。キャリアを考える上では、AIをうまく活用しながら、自分で選択する人生にしてほしいですね。」

志賀氏は就職活動の頃を振り返って「やり切ったことがない。それがコンプレックスでした」と話します。そこから、どうやって進む道を決めてきたのか。そして、AIが答えを出してくれる時代に、なぜ自分で決めることにこだわるのか。詳しくお話を伺いました。

読み終わる頃には、AIに聞く前にやることが、一つ見つかっているはずです。

お話を伺った人

株式会社LifeLab

代表取締役 志賀 香織

愛知県出身。大学卒業後にリクルートへ入社し、キャリア支援の部門で中途採用と新卒採用の支援を担当。25歳で自分の働き方と人生を見つめ直し、在職中から独立の準備を始める。転職を挟んで準備を続け、2020年に株式会社LifeLabを設立。「誰もが輝ける社会を実現する」を理念に、キャリア支援事業、システムコンサル事業、整体事業、美容事業の4つの事業を手がけている。

目次

やり切ったことがない。それがコンプレックスでした

編集部

志賀社長は、いまキャリア支援事業と整体サロンの経営をされていますが、そこに至るまでの歩みから伺えますか?

志賀社長

私は愛知県の出身で、父が自動車メーカーのグループ会社に勤めていて、母は専業主婦という、ごく一般的な家庭で育ちました。中学、高校、大学と地元で進学して、それで就職活動になった時に、自分の人生でやり切ったことは何か、何に全力を尽くしてきたかを振り返ると、あんまりなかったんです。

編集部

これといったものが出てこなかったんですね。

志賀社長

はい、部活もコロコロ変えてきましたし、習い事もちゃんと続けてきたものがないなと。それがコンプレックスで、何かに打ち込みたいなと思いながら就職活動をしていました。まわりに胸を張れるものが、自分には何もなかったので。

編集部

打ち込めるものを探しに行かれたんですね。その中で、就職先に人材の会社を選ばれたのは、どうしてだったんですか?

志賀社長

本当にたくさんの会社を回って、その中で出会ったのがリクルートでした。ちょうど塾のアルバイトの経験から、『誰かの人生の分岐点に、一緒に立てること』がすごく嬉しかったという気持ちもあって、人材系と教育系の2つに絞って受け始めたんです。

編集部

塾で感じたことが、そのまま仕事選びにつながったんですね。

志賀社長

そうですね。人の分岐点に関われる仕事、というところは同じでした。それで入社してからは、ずっとキャリア支援の部門にいて、中途採用と新卒採用の両方を担当していました。

編集部

企業と求職者の、どちらを見る立場だったんですか?

志賀社長

営業担当として、両方を見る形ですね。仕事そのものはすごく面白かったです。

25歳で、初めて自分の人生と向き合いました

編集部

面白かった仕事を、なぜ離れることになったんですか?

志賀社長

朝早くから夜遅くまで、土日も働くくらいのめり込んでいたんですが、25歳の時に30代が見えてきて、改めてキャリアをどうするか考えたんです。仕事は面白いけれども、この働き方を30代、40代、50代と続けられるかというと、不安はありました。体を壊すこともありましたし。

編集部

頑張りたい気持ちと、体がついてこない現実と。

志賀社長

ずっといい状態で仕事をし続けたいという気持ちもありましたし、ゆくゆくは家庭も欲しいなと思うと、その両立をどうするかを考えるタイミングがちょうど25歳でした。それで、リクルートを卒業された先輩たちに相談に乗ってもらったんです。

編集部

先輩からは、どんな言葉が返ってきましたか?

志賀社長

私の中では、仕事を変えるかどうかという選択肢しかなかったんですけれども、まず自分がどういう人生にしたいかから決めた方がいいよ、と言ってもらいました。本当に立ち止まって自分の人生と向き合ったのは、その時が初めてでしたね。

編集部

具体的には、どのように向き合われたんですか?

志賀社長

先輩に「理想を描いてみな」と言われて、実際に描いてみたんです。働き方はどうしたいか、家庭をどう持ちたいか、生きている間にここは自分の目で見たいという旅行先のことも。そうすると、時間の制約が見えてきますし、お金ももっと稼ぎたいな、会社の看板抜きでも通用する人材になりたいな、というのも出てきて。その時に初めて、独立という選択肢が出てきました。

編集部

書き出してみて、初めて見えたんですね。そこからは、どう動かれたんでしょうか。

志賀社長

ご縁があって、リクルートの先輩に経営者の方を繋いでいただいて、その方に「経営をゼロから教えてください」とお願いしました。経営って何をしたらいいんだろう、と本当にわからなくて、正直怖いイメージもありました。そんな中、基礎から教えていただきながら力をつけて、独立できたという感じですね。実際には、リクルートで働きながら土日中心に準備を始めて、その後は転職して、次の会社に勤めながら準備を続けていました。

「どういう人生にするか」からキャリアを選択する価値を伝えたかったんです

編集部

独立してから始められたのが、キャリア支援なんですよね。

志賀社長

キャリアデザインワークというワークショップを、コロナの時期から6年ほど定期開催しています。元々リクルートでキャリア支援をやっていたので、友人やその後輩から「相談に乗ってほしい」という声は頻繁にあったんです。特にコロナの時期はやっぱりすごく増えました。

編集部

内定の取り消しなども起きていた頃ですね。

志賀社長

ボーナスが全然出なくなったという方もいましたし、業界によってダメージを受けたところもあって、キャリアを考えるタイミングの人が多かったんだろうなと感じました。ただ、その時に闇雲に転職するのは違うよなと思っていて。私も先輩に言ってもらった通り、どういう人生にするかから、ちゃんとキャリアを選択できるといいなと思ったんです。それで、相談に来た人をまとめて、じゃあちょっとみんなで考えようというところからスタートしました。

編集部

1人ずつ相談に乗るのではなく、みんなで。

志賀社長

当時はオンラインだったので、Zoomでつないで、それぞれ黙々とワークをする形でした。どういう人生にしたいか、人生の中で自分がやりたいこと、実現したいことをみんなで書いていくんです。参加費は会場費を頭割りにしました。無料よりは、少しかけた方がご本人のためかなと思うくらいの金額ですね。

編集部

会場費頭割り…!事業として成り立つ金額ではないですよね。

志賀社長

そこでマネタイズはしていないです。みんなが将来を考えるにあたって必要な場を自分のために作ってほしい、というところからやっているので。そのあとで転職したい、フリーランスになりたい、独立したいという考えに至った方を、提携している人材紹介会社にご紹介したり、フリーランスを求めている企業に直接お繋ぎしたりしています。

全部手放す時間って、すごく贅沢だなと思ったんです

編集部

キャリア支援の会社が、なぜ整体サロンまで始められたんですか?

志賀社長

私自身が20代の後半から整体に通っていて、身体のメンテナンスは大事だなと体感していたんです。ただ、整体は身体を治すことが目的なので、癒しをテーマにした空間やサービスのほうは、あまり重視されてこなかったと思うんです。

編集部

たしかに…。私も整体に通って腰痛が治った経験はありますが、あまりにも施術が痛くて。その経験からも院の内観からも、癒しのイメージとは結びつかないですね。治療とリラクゼーションは別モノという固定概念があります。

志賀社長

そうなんですよね。私自身、癒される時間もすごく好きなんですけれども、その場で楽になっても、翌日にはまた戻っていることもあって。その時間は確かに癒されるんですけどね。なので、やっぱり効果もあってリラックスもできたら一番いいなと思って。

編集部

一般的には、癒しか効果か、どちらかになっている。両方欲しかったんですね。

志賀社長

一緒に立ち上げた仲間も同世代が多いんですけれども、日々忙殺されていますし、スマホとパソコンでデジタルの情報もすごくいっぱいあって。リトリートも流行っていますけど、田舎にわざわざ行くほどじゃない。でも「ちょっと手放す」そういう時間ってすごく贅沢だなと思ったんです。その間に身体がしっかり整っていたら、めちゃくちゃいいなと。

編集部

手放す時間と、整える時間を1つにする。それでどんな空間になったんですか?

志賀社長

サロンのほうは、内観を海と森で分けています。森のほうは全面が森で、音も小鳥のさえずり。海のほうは波の音です。香りも自分で選べるようにしています。

編集部

音も香りも、入った瞬間から切り替わるんですね。

志賀社長

はい。視覚や音、香りから自分の身体に没入できるような空間づくりを心がけています。施術も、時間をかけてしっかりじっくりやるので、寝てしまう方が多いですね。

編集部

寝てしまうくらい…。どんな方が来られるんでしょう?

志賀社長

浜松町に出したのも、お仕事を頑張っている方が多いだろうなと推測したからなんですが、ずっと仕事をされていて「さすがにやばくて来ました」という方がやはり実際に多いですね。

AIを活用しながら、自分で選択する

編集部

さすがにやばくて、というのは切実ですね…。キャリアに整体にと幅広く事業を展開されてきた御社の、これからの展望も伺えますか?

志賀社長

これは最近感じたことなんですけれども、AIの時代だからこそ、アナログなものの価値がすごく上がってきているなと思っていて。弊社の整体は、施術が60分から長くて90分なのですが、その中で人の手から伝わるものってやっぱりあるなと思うんですよね。

編集部

60分から90分、人の手がずっと触れている。

志賀社長

AIで取って代わる業界ももちろんあると思うんですけど、人の手だからこそ伝わるもの、伝わる愛情も熱量もあると思うんですよ。なので、キャリア支援も、整体事業も、今もアナログでやることにこだわっています。

編集部

一周回って、アナログで。整体のお仕事は、未経験からでも始められるんですか?

志賀社長

はい、未経験の方でも大丈夫です。セラピストになれるまでレクチャーしていきますのでご安心ください。採用を本格的にやっていくのは2027年、2028年あたりからと考えています。

編集部

入り口はある、ということですね。求人を選ぶ時も、いまはAIに聞いてみる人が多そうですが…。

志賀社長

今のご時世、生成AIに聞いたらなんでも色々アドバイスをくれるじゃないですか。でも、自分で考えることと、自分で決める力をつけることが、絶対に大事だと思うんですよ。AIを活用しても、最後には自分で決めることが大切だと思っています。

編集部

自分で決める。志賀社長ご自身も、やり切ったものが何もないところから、25歳で理想を書き出して、そこから決めてこられたんですもんね。何を選ぶかを、人にも機械にも預けない。まずは紙に書き出してみるところからなら、今日でもできそうです。志賀社長、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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