SESを辞めたい!その主な理由は?辛い状況を抜け出す方法と転職の進め方

SES(System Engineering Service)契約は、所属企業が顧客企業と準委任契約を結び、エンジニアを顧客先に常駐させて業務を行う形態です。「SESを辞めたい」と感じる相談には、多重下請け構造、単価と給与のギャップ、キャリア形成のしにくさなど、契約構造に起因する理由が多く含まれます。
当社のキャリアアドバイザーにも、SESエンジニアからの転職相談を多く寄せられます。自社開発企業・社内SE・SIerプライム企業・事業会社のIT部門への転身など、SESから抜け出す選択肢は複数あります。
SESを辞めるうえでは、契約形態の問題(多重下請け・準委任契約の特性)と、働き方の側面(客先常駐)を分けて確認することが重要です。この記事では、SESを辞めたい理由・抜け出す方法・転職の進め方を、当社のキャリアアドバイザーが解説します。
この記事は、転職エージェント「ノビルキャリア」を運営する私たちが、SESエンジニアからの転職を支援してきた経験をもとに執筆しています。
阿部 翔大いま動くか迷う段階でも大丈夫です。次の方向を一緒に確認してから動く前提で、ご相談いただけます。


SESを辞めたいと感じる主な理由
SESを辞めたいと感じる代表的な背景を、契約形態の観点で確認します。働き方(客先常駐)の話は別記事でまとめているため、本章では契約構造に起因する要因を中心に解説します。
多重下請け構造に巻き込まれやすい
SES業界は、元請(プライム)→1次請→2次請→3次請のように、案件が下流に降りてくる構造があります。2次受け以下のSESにいる場合、案件単価から複数の中間マージンが引かれ、エンジニアに渡る給与は元請単価の50〜60%程度になることも珍しくありません。自分の市場価値と給与のギャップが大きく感じられる主因の一つです。
単価と給与のギャップ
客先がエンジニアに支払う「案件単価」と、所属企業からエンジニアに支払われる「給与」のギャップは、SESエンジニアの辞めたい理由として上位に挙がります。月単価60〜80万円の案件で月給25〜30万円という構造が継続すると、市場価値と評価のミスマッチが強まります。
キャリア形成のしにくさ
案件配属が営業判断で決まるため、希望する技術スタック・業務領域を選びにくく、自分のキャリアプランが配属任せになるという感覚を持ちやすくなります。Web系・クラウド・SREなど、市場で価値の高い領域に進みたくても、企業の保有案件次第で機会が回ってこないケースもあります。
評価軸の不明瞭さ
所属企業の評価担当者が日常業務を直接見ていないため、評価が客先からのフィードバック頼みになりやすく、昇給の根拠が見えにくくなります。「自分のスキルがどう評価されているか」が透明になりにくい構造です。
参考:働き方としての客先常駐の問題
契約形態に加えて、SESの多くで採用される客先常駐の働き方には、自社への帰属意識のなさ、案件配属で業務が決まる、通勤の客先依存など、働き方の側面の問題もあります。
SESの仕組みと実態
SESを正しく理解するうえで欠かせない、契約形態の基本を確認します。一般的な準委任契約・派遣契約・請負契約の違いを把握することで、自分の置かれている状況が見えやすくなります。
SESは準委任契約に基づく業務提供
SES契約は、民法上の準委任契約に基づき、エンジニアが顧客先で業務を提供する形態です。顧客企業はエンジニアに対する直接的な指揮命令権を持たず、エンジニアは所属企業(SES企業)の指揮下で業務を行うのが原則です。実態としては顧客先の社員と同様に動くケースが多く、契約と実態の乖離が問題視されることもあります。
派遣契約との違い
派遣契約は、派遣会社からエンジニアを派遣し、派遣先企業の指揮命令下で働く形態です。労働者派遣法に基づく規制があり、派遣先での労働時間管理・残業命令などは派遣先が行います。SES(準委任)との大きな違いは、指揮命令権の所在と、派遣に関する各種法的保護の有無です。
請負契約との違い
請負契約は、成果物の完成に対して報酬が支払われる契約形態です。エンジニアは所属企業の指揮下で業務を行い、成果物の納品まで責任を持ちます。SES(準委任)が「労働時間」に対する報酬であるのに対し、請負は「成果」に対する報酬という違いがあります。
偽装請負・偽装委任との関係
SES契約を結んでいるにもかかわらず、顧客先の社員が直接エンジニアに指揮命令を出している場合、「偽装請負」「偽装委任」と呼ばれる法的に問題のある状態になります。厚生労働省・経済産業省も注意喚起を行っており、業界として課題視されています。自分の現場が該当する場合は、所属企業に状況を伝えることが第一歩になります。


SESから抜け出す主な選択肢
SESを辞める方向で動く場合の選択肢を、4パターンに分けて確認します。それぞれにメリット・注意点があり、経験年数・年齢・年収希望によって現実的な選択肢が変わります。
自社開発企業(事業会社/自社プロダクトを持つ受託)
自社開発企業(Web系・SaaS系)や、自社プロダクトを持つ受託開発企業への転職は、SESから抜け出す代表的なルートです。1つのプロダクトに腰を据えて関わる形になり、契約上の中間マージンがなく、給与と業務貢献の関係が見えやすい構造になります。
社内SE(事業会社のIT部門)
事業会社のIT部門への転職は、SESからの抜け出し先として人気があります。客先常駐のストレスから離れ、規則的な勤務になりやすい点が魅力です。求人母数は限られるため、エージェントとの連携が重要です。社内SEの実情は下記の記事もご参照ください。
SIer正社員(プライム寄り)
SIerの正社員として、プライム案件・元請ポジションに移る選択肢です。大規模案件・上流工程の経験を積みやすく、年収レンジもエンジニア時代より上がることが多くなります。中小SES企業から大手SIer・準大手SIerへの転職は、3年以上の経験があれば現実的なルートです。
異業種への転職
「エンジニアそのものを離れたい」という方は、IT営業・ITコンサル・社内情シスなど、技術理解を活かせる異業種への転身も選択肢です。年収・働き方の方向性が大きく変わるため、慎重に選ぶ必要があります。
SESから目指しやすい職種・企業
抜け出し先として現実的な職種・企業を確認します。SESで培った経験は、ほぼすべての応募先で評価対象になります。
自社開発Web系企業
Web系自社開発企業は、Ruby/Python/PHP/Java/Go等の言語で自社プロダクトを開発します。1つのプロダクトに集中して関わる形で、技術スタックの深掘りが進みます。スタートアップ・メガベンチャーで年収レンジは幅広く、SES時代より高めの企業も多くあります。
SaaS事業会社
SaaS事業会社では、自社プロダクトの開発・運用のほか、カスタマーサクセス・テクニカルサポート・プリセールスなど、技術理解を活かす職種も増えています。事業の伸びとエンジニア組織の伸びが直結しやすく、市場価値の高い領域です。
社内SE・事業会社のIT部門
事業会社のIT部門で、社内システム・ヘルプデスク・ベンダー管理を担当します。SESで培った顧客折衝・要件理解力がそのまま活きる職域で、規則勤務・社内環境への帰属が魅力です。
SRE・インフラ・クラウドエンジニア(経験者向け)
インフラ・クラウドの経験がある方は、自社開発企業・事業会社のSREポジションへの転身が選択肢になります。年収レンジが高く、規則勤務寄りで、キャリアアップが見えやすい職種です。インフラ向けの転職エージェント比較は下記の記事もご参照ください。
SESから抜けるための転職活動の進め方
抜ける方向が決まったら、転職活動を進めます。動き方の基本を4ステップで確認します。
STEP1:求人票・契約形態の確認ポイント
応募先の求人票では、契約形態(正社員・契約社員)、配属形態(自社/客先常駐)、職種を確認します。求人票に「自社開発」と書かれていても、実態が受託中心・SES中心の企業も一定数あります。企業の公式サイト・有価証券報告書・IR資料など、確認できる一次情報を中心に企業の実態を確かめましょう。
STEP2:経験の言語化(SES経験を強みに翻訳)
SESで培った経験を、応募先で評価されやすい形に翻訳します。「客先のSEとして要件ヒアリングを担当」「複数の業界システムに触れて業務知識を蓄積」「複数のチームで横断的に動いた経験」など、SES特有の経験を職務経歴書に明示することで、応募先での評価につながります。
STEP3:エージェント選び(IT特化+自社開発志向)
応募段階では、IT特化型エージェントと、自社開発・事業会社の求人を多く持つエージェントを併用するのが現実的です。当社のように20代の若手IT職の支援を得意とするエージェントは、SES→自社開発・社内SEへの転身支援に強みがあります。エンジニアの相談先全般は別記事もご参照ください。
STEP4:在職中転職を基本に進める
退職後の転職活動は経済的・心理的なリスクが高いため、在職中の転職活動が基本です。書類応募から内定までは1〜3か月が一般的な目安で、客先常駐先での業務との両立は工夫が必要になりますが、在職中でも平日夜・土日対応可能なエージェントが大半です。



SESを辞める時の難所は、職務経歴書で「客先での業務」と「自社所属」をどう書き分けるかです。客先で身につけた業務理解・要件ヒアリングの経験を、自分の強みとして書けると、自社開発・社内SE先での評価が変わりますよ。


SESを辞めずに続けるべきケース
「SES全部が悪い」ではなく、状況によっては続ける選択肢が現実的なケースもあります。短期的な視点と中長期的な視点の両方で確認しましょう。
大規模案件で技術習得中のケース
大手金融・公共・通信などの大規模案件で、最新技術(クラウド/コンテナ/マイクロサービス等)に触れている場合、その経験は市場で高く評価されます。技術習得の途中で動くより、案件完了まで関わって経歴に書ける状態にしてから動くことで、次の転職での評価が変わります。
1社目でまだ業界理解中のケース
新卒・第二新卒で入社して1年未満の場合、業界理解そのものがまだ進んでいない段階です。「SESがつらい」と感じても、まだ何が向いているか判断する材料が揃っていない可能性があります。少なくとも1〜2年は経験を積んでから動く方が、転職市場での評価が安定します。
プライム案件・元請案件中心のSES
所属企業がプライム案件・元請案件を中心に扱っている場合、多重下請けの中間マージン問題は限定的になります。SESでも案件単価・給与・キャリアパスが透明な企業もあり、こうした企業に所属している場合は、続ける選択肢も現実的です。
資格取得・大型プロジェクト完了が間近のケース
AWS認定・基本情報技術者・応用情報技術者などの資格取得が間近、または担当している大型プロジェクトが半年以内に完了予定の場合、それを終えてから動く方が、転職活動での材料が増えます。「いつ動くか」の優先度を確認しましょう。
SESを辞めたい・転職を検討している方は当社へご相談ください
当社は、株式会社MEDISITEが運営する20代向けの転職エージェントです。これまで10,000名以上の転職をサポートしており、内定承諾者の平均年齢は24.7歳、支援者の約85%が20代という実績があります。20代のSESエンジニアからの転職相談も日々お受けしています。
SESエンジニアの方の面談では、現職の契約形態・案件単価の見え方・所属企業の評価制度・キャリアパスの見え方の棚卸しから始めます。「SES全部が悪い」ではなく、契約形態のどこに問題があるかを確認することで、続ける/企業を変える/別職種への転身、どの選択肢が現実的かが見えてきます。
当社の支援実績
実際の面談で行っていること
SESエンジニアの方の面談では、契約形態の問題と次の方向の確認を一緒に進めることを大切にしています。当社のキャリアアドバイザーは、面談で次のような支援を行っています。
- 現職の契約形態(準委任/派遣/請負)・案件単価の見え方・キャリアパスの確認
- SESを辞めたい理由の確認(多重下請け/単価ギャップ/キャリア形成のしにくさ等)
- 自社開発/社内SE/SIerプライム/事業会社、各選択肢の比較
当社が向いている方
- 20代でSESエンジニアからの転職を検討している方
- 契約形態の問題を確認したうえで動き方を確認したい方
- 自社開発・社内SE・SIerプライム・事業会社のIT部門を比較したい方
- 東京・大阪・神奈川・愛知などの主要都市での就業を考えている方
当社が合わない可能性がある方
年収700万円以上のシニアエンジニア・上流SE求人を中心に検討したい方、35歳以降の方は、レバテックキャリアやJACリクルートメント等の経験者向け・ハイクラス特化サービスの方が候補が広がる場合があります。



SESエンジニアの「辞めたい」は、契約形態のどこに問題があるかで動き方が変わります。多重下請けの2次受け以下にいる方は早めに動いた方がいいケースが多い一方、プライムSESで大規模案件を担当している方は続ける選択肢もあります。気軽に話を聞かせてください。


SESエンジニアの転職についてキャリアアドバイザーによくある質問
Q. 何年目で動くのが現実的ですか?
A. 1〜2年でも動くことは可能ですが、書類選考での評価が「経験浅め」になるケースが増えます。3年程度の実務経験があると、自社開発・社内SE・SIerプライムへの転職先の選択肢が広がります。SESに違和感を感じ始めた段階で、まずエージェントとの面談で選択肢を確認するのが現実的です。
Q. SES契約の確認はどうすればよいですか?
A. 雇用契約書・派遣契約書・準委任契約書のいずれが該当するかを、所属企業の人事・労務担当に確認します。多くのSES企業では、エンジニアと所属企業の間は「雇用契約(正社員)」、所属企業と顧客企業の間は「準委任契約」という構造です。自分の契約形態が見えていない場合は、所属企業に確認することが第一歩です。
Q. 違約金は発生しますか?
A. 一般的な正社員契約のSES企業では、退職時に違約金が発生することはありません。違約金条項を雇用契約書に盛り込むこと自体が労働基準法で原則禁止されています(労働基準法16条)。「違約金を払え」と言われた場合は、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。
Q. 自社開発企業を見分ける方法はありますか?
A. 企業の公式サイトで自社プロダクトのページがあるか、IR情報・有価証券報告書で売上構成(自社プロダクト売上の比率)が確認できるか、採用ページで「客先常駐なし」「自社開発100%」と明記されているかを確認するのが基本です。エージェントとの面談で企業の実態を確認することも有効です。
Q. SESから自社開発に行くと年収はどう変わりますか?
A. 企業形態・経験年数により幅があります。中小SESから自社開発・事業会社のエンジニアに移ると、年収50〜150万円アップするケースが珍しくありません。一方、Web系の小規模スタートアップ等では、初年度年収が一時的に下がるケースもあります。エージェントとの面談で年収レンジを確認することが重要です。


まとめ|SESを辞めたい時の抜け出し方
SESを辞めたいと感じた時の選択肢は、自社開発/社内SE/SIerプライム/異業種の4方向です。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- SESの辞めたい理由は、多重下請け構造/単価と給与のギャップ/キャリア形成のしにくさ/評価軸の不明瞭さなど契約構造の側面
- 働き方としての客先常駐の問題(場所・帰属意識)は別記事で解説しているため、両面で確認する
- 抜け出す方向は、自社開発/社内SE/SIerプライム/異業種の4パターン
- 一方で大規模案件で技術習得中・1社目で業界理解中・プライム案件中心SESの場合は、続ける選択肢もある
- 在職中の転職活動を基本に、IT特化+自社開発志向のエージェント併用で進めるのが現実的



「SESを辞めたい」と感じる時は、契約形態のどこに問題があるかで動き方が変わります。「いま動くか迷っている」段階でも、まずは話を聞かせてください。一緒に方向性を確認できれば、選択肢は広がりますよ。
運営者情報
| メディア名 | ビギナーズリンク |
| 運営会社 | 株式会社MEDISITE |
| 代表者 | 竹田津 惇 |
| 所在地 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿8丁目5-4 STビル701 |
| 設立 | 2022年11月 |
| 事業内容 | HRメディア事業・SNSマーケティング事業・営業支援事業 |
| 許認可 | 有料職業紹介事業(13-ユ-316383) |

