鳶職の年収はいくら?年代・経験・地域・職人ランク別の相場と稼ぐコツを徹底解説

鳶職の年収は、雇用形態・経験年数・地域・職人ランクによって大きく変動します。結論として、鳶職の平均年収は厚生労働省 賃金構造基本統計調査ベースで約506万円jobtag集計では414.5万円。年代・経験年数・地域・職人ランクで200万円以上の年収差が出る職種です。

この記事では年代別・経験年数別の年収推移、首都圏と地方の地域差、見習い・職人・親方それぞれの相場、年収を上げる5つの方法、他の建設職との比較を厚労省データと弊社の支援実績から解説します。

この記事は、転職エージェント「ノビルキャリア」を運営する私たちが、建設業界で働く方の年収相談・転職支援を数多く積み重ねてきた経験をもとに執筆しています。

この記事の監修者

株式会社MEDISITE キャリアアドバイザー

阿部 翔大

目次

鳶職の年収相場|公的データで見る平均像

鳶職の年収|3つの公的・自社データ

約506万円
厚労省 賃金構造基本統計調査
(月給36.8万+賞与64.2万)
414.5万円
厚労省 jobtag「とび」
(月給求人ベース30.5万円)
380〜450万円
弊社調べ
(20代鳶職経験者の相談時年収)

【参考】厚生労働省|賃金構造基本統計調査

【参考】厚生労働省|職業情報提供サイト job tag「とび」

建設業全体の年収レンジは、jobtagでは「とび」と「鉄筋工」がともに414.5万円、「型枠大工」が約430万円、「電気工事士」が約460万円、「施工管理(建築)」が500〜700万円。鳶職は建設業の職人系職種としては中位に位置し、独立や元請昇格の余地が大きく、伸びしろが広いのが特徴です。

賃金構造基本統計調査は企業規模10人以上の事業所を対象とした全国調査で、月給と賞与を合算した年収を出しています。jobtagは求人賃金ベースのため賞与込みの想定年収が低めに出るのが特徴です。

ボーナスが手厚い大手の鳶業者で働いている場合は賃金構造基本統計調査の506万円に近づきやすく、ボーナスが薄い中小の業者ならjobtagの414.5万円が現実的な水準になります。

阿部 翔大

データだけ見ると平均506万円という数字に安心も焦りも出ますよね。僕が建設業界の方とお話しするときに大事にしているのは、自分が今どの位置にいて次の3年でどこまで上げられるかという軸なんです。年代・経験・地域で200万円差があるのが鳶職の年収のリアルですよ。

年代別・経験年数別の年収推移|20代から30代で年収カーブが伸びる

鳶職の年収は年代と経験年数で大きく変動します。とくに20代から30代にかけてのカーブが急で、ここで職長や資格保有者の道に乗れるかが、その後10年の年収を左右します。

鳶職の年代別 平均年収

年代平均年収目安働き方の特徴
10代約252万円見習い期間。基礎技術を覚える
20代約338万円一人前を目指します。資格取得開始
30代約499万円職長・現場リーダーへの分岐点
40代約625万円(ピーク)親方・職長として現場を回す
50代約559万円体力低下に伴いセカンドキャリア検討

10代は見習いの位置づけで250万円前後。20代で一人前として現場を任され始めると300万円台後半に。30代で職長や資格保有者になれば500万円前後に乗り、40代でピークの625万円を迎えます。50代以降は体力低下とセカンドキャリア検討で年収が微減する人が多いです。

鳶職の経験年数別 平均年収

経験年数役割平均年収目安
1〜4年見習い約327万円
5〜9年一人前の職人約429万円
10〜14年職長候補約480万円
15年以上親方クラス約537万円

経験年数で見ると、5年目で年収400万円台に乗る人が多いです。10年を越えると職長候補として現場を任され、15年以上の親方クラスで500万円台後半が見えてきます。ここから先で独立や元請への昇格に踏み切ると年収が一気に伸びる構造です。

ここで注目したいのは、年代と経験年数で見たカーブが必ずしも一致しないことです。10代から鳶職に入った人と、20代後半で異業種から鳶職に転職した人では、同じ経験年数でも年代が異なります。そのため資格取得や職長経験を積むタイミングが、結果として年収カーブの伸び方を決めます。年齢で焦るよりも、経験と資格でどこまで積み上げたかを基準にしたほうが実態に合います。

【参考】厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査 速報

阿部 翔大

20代から30代に上がるときが鳶職の年収カーブが一番伸びる時期なんですよ。資格を取って職長を任される人と、現場でただ作業を続ける人で、ここから年収差が一気に広がります。30代に入る前に資格取得と現場リーダー経験を積めるかが、その後の10年を決めると僕は思いますね。

地域別の年収差|首都圏と地方で200万円差が出る理由

鳶職の年収は勤務地によって大きく変わります。首都圏と地方では平均年収に200万円近い差が出ることがあり、これは公共工事と大型建造物の集中度に直結します。

地域平均年収目安背景
関東(首都圏)約500万〜550万円大型建造物・再開発・公共工事が集中
近畿約460万〜500万円大阪・京都の再開発が中心
中部約430万〜470万円名古屋圏の工場・物流施設の建設
九州・東北約380万〜420万円地場の住宅・公共工事中心

地域別 鳶職 平均年収(イメージ)

関東(首都圏)約525万円
━━━━━━━━━━ 100%
近畿 約480万円
━━━━━━━━ 91%
中部 約450万円
━━━━━━━ 86%
九州・東北 約400万円
━━━━━ 76%

首都圏で鳶職の年収が高い理由

首都圏で年収が高い背景は明確です。大型再開発・公共工事・タワーマンション建設が集中しており、単価の高い大型現場が多いです。さらにゼネコン直接雇用や上位下請の鳶業者が首都圏に本社を構えているケースが多く、待遇面でも地方より優位になりやすいです。

地方の鳶職人が年収を上げる選択肢

地方在住で年収を上げたい場合の選択肢は3つあります。遠征対応で首都圏現場に入る方法、家族の理解が得られれば首都圏へ移住して年収帯を上げる方法、地元で親方・元請を目指して単価交渉できるポジションに上がる方法です。生活コストや家族の状況を含めて、自分にとって何が最大化したいかを整理してから動くと後悔が少ないです。

遠征は一見お金になりやすい働き方ですが、家族との時間や宿泊先の負担も発生します。首都圏移住は家賃や生活コストを考慮すると、額面で増えても手取りで増えないケースもあります。地元で親方を目指す道は時間がかかりますが、家族との生活と両立しやすいです。どの選択肢にも長短があるため、年収だけでなく生活全体の満足度で判断するのが現実的です。

阿部 翔大

地方の方が首都圏に出るかどうかは、家族・住居・人間関係の比較になります。年収だけ追って首都圏に出ても、生活コストで相殺されるケースもあります。地方で親方を目指す道と、首都圏で大型現場の経験を積む道、両方を比較して自分の優先順位を整理してから動くのが大事ですね。

職人ランク別の年収|見習い・職人・親方で何が変わるか

鳶職の世界は経験と役割で3段階のランクに分かれます。それぞれ年収帯が明確に違い、求められるスキルも変わります。

見習い(経験1〜4年)|年収300〜350万円帯

入職から数年は基礎技術の習得期間。資材運搬や先輩のサポートが中心で、独立して足場を組む段階には至りません。年収は300〜350万円帯が中心で、玉掛け・足場の組立て等作業主任者の資格取得が次のステップへの分岐点になります。

一人前の職人(経験5〜10年)|年収400〜500万円帯

5年を越えると現場で独立して作業できる職人として認められ、年収は400〜500万円帯に乗ります。とび技能士2級を取得して職長候補になる人、大型現場の経験を積み重ねて単価を上げる人など、ここから年収カーブの分岐が始まります。

職長・親方(経験10年以上)|年収500〜700万円・1000万円も狙える

10年以上の経験があり、とび技能士1級や職長・安全衛生責任者教育を修了していれば、職長として現場全体を取り仕切るポジションに就けます。年収は500〜700万円帯。さらに独立して一人親方になり、複数現場を回せるようになると年収1000万円も視野に入ります。

STEP
見習い(1〜4年)

基礎技術習得・玉掛け資格取得。年収300〜350万円帯。

STEP
一人前の職人(5〜10年)

独立作業可・とび技能士2級取得。年収400〜500万円帯。

STEP
職長・親方(10年以上)

とび技能士1級・職長教育修了。年収500〜700万円帯。

STEP
独立・元請(15年以上)

一人親方・会社設立。年収700〜1000万円超も視野。

ここで一つ視点を加えます。安定には2種類あると僕らは考えています。一つは「今の安定」(労働時間が短い・休みが多い)、もう一つは「将来の安定」(経験と資格で市場価値が積み上がる)です。鳶職は前者ではないですが、後者の代表的な職種でもあります。資格と経験を積むほど他社・独立で食える人材になるため、続ける選択肢が市場価値型の安定につながります。

阿部 翔大

見習いから一人前、職長、親方と段階を上がるたびに、求められるのが体力から判断力・人間力に変わっていくんですよ。年収が上がるほど作業ではなく管理に時間を使うようになります。今やっている仕事が3年後・5年後の自分の市場価値を上げるものか、たまに棚卸ししてみてくださいね。

鳶職の年収を上げる5つの方法

年収アップの方法は大きく5つあります。性格・人生のフェーズ・希望によって最適解が変わるため、自分にとってどれが現実的かを考えながら読んでください。

①資格を取得する|玉掛け・足場の組立て等作業主任者・とび技能士

まず最短で年収を上げたいなら資格取得が現実的です。玉掛け技能講習・足場の組立て等作業主任者・とび技能士1級2級・職長教育などの資格は、現場で任される業務の幅を広げ、資格手当や単価アップに直結します。

とくに足場の組立て等作業主任者は法定の有資格者でなければ作業主任者を選任できないため、現場で必須の存在として重宝されます。資格手当として月1〜3万円、年間で20〜35万円の差になることもあります。

②職長・親方として現場をまとめる側にまわる

体を動かす立場から現場全体を回す職長に上がると、年収だけでなく「将来も働ける職種か」という安定面でも選択肢が広がります。30代までに職長を経験できると、その後のキャリアの幅が違ってきます。

職長になるには職長・安全衛生責任者教育を修了し、現場で職人を統率する経験を積むことが必要です。会社によっては教育を受けさせてもらえるかどうかが分かれ目になるため、職長を目指せる環境かを社選びの軸に入れておきましょう。

③大手ゼネコン直接雇用または上位下請を目指す

建設業界は重層下請構造のため、所属する会社の階層によって年収帯が決まります。スーパーゼネコン直接雇用や上位下請に転職すれば、同じ経験年数でも年収100万円以上の差が出るケースがあります。

鹿島・大林・大成・清水・竹中といったスーパーゼネコン5社と直接取引のある一次下請業者に移ることが、現実的に取り組みやすい年収アップ手段の一つです。

④独立して一人親方/会社を設立する

10年以上の経験と人脈があれば、一人親方として独立する道もあります。さらに法人化して職人を雇用すれば年商ベースで一気に伸びます。リスクとリターンが大きいルートですが、職人としての腕に自信があれば検討価値がある選択肢です。

「やるしかない」という想いで25歳のうちに株式会社市川電設を立ち上げた市川社長は、現場の経験を独立につなげた建設業界の起業家の一人です。鳶職とは別職種ですが、同じ建設の世界で「現場経験を独立に変えた」事例として参考になります。

⑤施工管理など建設業界内のキャリアチェンジで年収アップ

体力ピークの問題や将来の働き方を考えて、施工管理に転換する道もあります。鳶職としての現場知識は施工管理の重要なベースになり、未経験から施工管理派遣の正社員として入る人もいれば、現場経験を活かして直接ゼネコンに転職する人もいます。

建設業派遣で3年現場経験を積んでゼネコン転職するのが王道ルートです。

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鳶職の年収に関して多く寄せられる質問

Q. 鳶職の年収を一番上げやすい方法は何ですか?

A. 短期で効くのは「とび技能士」「職長・安全衛生責任者教育」などの資格取得で、月給に2〜5万円の手当が乗ります。中期で効くのはスーパーゼネコン直接取引の上位下請業者への転職で、同じ経験年数でも年収100万円以上の差が出ます。長期で効くのは独立・法人化で、複数現場を回せれば年収1000万円超も視野です。

Q. 一人親方になれば本当に年収1000万円稼げますか?

A. 経験10年以上で人脈と腕があれば現実的です。ただし社会保険・労災・税金は自己負担になり、年商と手取りの差が大きくなります。複数の元請から安定して仕事を回してもらえる関係構築が必須で、最初の3年は変動が大きいのが実態です。法人化のタイミングや建設業許可の取得を含めて整理してから判断するのがおすすめです。

Q. 首都圏と地方の鳶職で年収はどれくらい違いますか?

A. 最大で年収200万円の差が出ます。首都圏・大阪などの都市圏は単価が高く再開発案件も多いため500〜600万円帯、地方は350〜450万円帯が中心です。首都圏移住で年収を上げる選択肢もありますが、生活費の違いも考慮した実質可処分所得で判断するのが現実的です。

阿部 翔大

FAQの数字は一般的な傾向で、実際は会社の規模・職長経験・住んでいる地域で大きく変わります。自分の今の年収が業界の中でどの位置にいるのか、これから何を積めば伸ばせるのか、無料相談で具体的なケースをお話ししますよ。

まとめ|鳶職の年収は「経験と環境の選び方」で大きく変わる

  • 鳶職の平均年収は厚労省データで約506万円・jobtagで414.5万円・自社調べで380〜450万円帯です
  • 年収カーブは見習い期300〜350万→職人400〜500万→職長500〜700万→独立1000万円超まで伸びます
  • 首都圏と地方で最大200万円の年収差。再開発案件の多い都市圏が高水準です
  • 年収を上げる5つの方法は資格取得・職長経験・上位下請転職・独立・施工管理転換
  • 短期は資格、中期は転職、長期は独立または施工管理転換と時間軸で整理するのが現実的です

鳶職の年収は「いま自分がどこで働いているか」「次の3年で何を積み上げるか」で大きく変わります。データだけ見て一喜一憂するよりも、自分の現在地(経験年数・地域・所属の階層)を整理して、5年後の年収目標から逆算するのが現実的です。

阿部 翔大

鳶職の年収って「会社・地域・経験年数」で本当に大きく変わるんですよね。統計データで一喜一憂するより、自分が次の3年でどの環境を選ぶかが何倍も大事です。年収を上げたい方向性が見えたら、僕らに整理を手伝わせてくださいね。

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