社会人5年目で「スキルなし」と感じるあなたへ|キャリアアドバイザーが教える逆転戦略

「社会人5年目だけどスキルがない」と感じているあなたへ。
周りが昇進したり、専門性を高めて転職したりする中で、自分だけが何も変わっていないような焦りを感じていませんか?
27歳前後のこの時期は、新人の頃のように「若さ」だけでは勝負できず、かといって「ベテラン」のような実績もない、非常に中途半端で不安を感じやすい時期です。しかし、結論からお伝えすると、この悩みを抱えているのはあなただけではありません。多くの社会人5年目が、自分の市場価値に疑問を持ちながら日々仕事をしています。
この記事では、「社会人5年目だけどスキルがない」と感じている方に向けて、キャリアアドバイザーとしての知見と、厚生労働省の客観的なデータに基づき、あなたが実は持っているスキルの見つけ方や、今からでも間に合う市場価値の高め方を具体的に解説します。
阿部 翔大5年目という時期は、いわばキャリアの踊り場です。焦る気持ちは痛いほどわかりますが、それはあなたが自分の将来を真剣に考えている証拠でもあります。まずはその向上心を認めてあげてくださいね。
株式会社MEDISITE キャリアコンサルタント
阿部 翔大


データで見る社会人5年目の実態


客観的なデータを見ることで、自分の立ち位置を冷静に把握しましょう。「自分だけが取り残されている」という感覚は、実は思い込みかもしれません。
25〜29歳の約3割が転職を希望している
厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」によると、現在正社員として働いている25〜29歳のうち、今後「転職したいと思っている」割合は33.4%に達しています。これは約3人に1人の割合であり、20〜24歳の35.0%に次いで高い数値です。


また、初めて勤務した会社をすでに離職している25〜29歳の割合は42.5%となっており、社会人5年目前後で一度は転職を経験している人が半数近くいることがわかります。つまり、あなたが転職を考えることは決して特別なことではなく、多くの同世代が同じように悩み、動いているのです。



3人に1人が転職を考えているということは、あなたの悩みは決して珍しいものではありません。市場も活発ですし、チャンスは十分に開かれていますよ。
自己啓発を実施している正社員は45.3%のみ
「みんな裏で勉強しているのではないか」と不安になるかもしれませんが、厚生労働省の「令和6年度能力開発基本調査」によると、自己啓発を実施した正社員の割合は45.3%でした。つまり、半数以上(54.7%)は自己啓発を行っていないということです。


また、OFF-JT(集合研修など)を受講した正社員も44.6%にとどまっており、多くの人が日々の業務に追われ、プラスアルファの学習時間を確保できていないのが現実です。SNSなどでよく見かける「スキルアップ報告」は氷山の一角に過ぎません。



SNSで見かける意識高い系の発信に惑わされないでください。実際には、半数以上が自己啓発をしていません。比較して落ち込む必要はありませんよ。
社会人5年目なのにスキルがないと感じる7つの理由


なぜあなたは「スキルがない」と感じてしまうのでしょうか。その原因を分解して理解することで、漠然とした不安を解消できます。
ルーティンワークしかしていない
毎日同じ作業の繰り返しで、新しい技術や知識を習得する機会がないと感じているケースです。特に事務職や定型業務が多い職種では、5年間働いても「これができるようになった」という実感を得にくい傾向にあります。



ルーティンを正確に回すのも立派な能力です。でも、そこに「効率化」や「ミス削減」の工夫があれば、それは立派なスキルになりますよ。
社内用語・社内ルールに詳しくなっただけ
社内調整や独自システムの操作には詳しいけれど、一歩外に出たら通用しないのではないかという「ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)」への不安です。大企業に勤める人に多く見られる悩みです。



社内調整力は、実はどこの会社でも重宝される高度なスキルです。それを「調整力」や「折衝力」と言い換えれば、立派な強みになります。
資格を持っていない
目に見える資格がないことで、客観的な証明ができないと感じています。特に士業や技術職など、資格が重視される職種の友人と比較して劣等感を抱きがちです。



実務経験は資格以上に評価されることが多いです。資格はあくまで「知識の証明」ですが、経験は「実行力の証明」ですからね。
専門性がない(ゼネラリストである)
部署異動が多く、広く浅く経験してきたため、「これだ」という武器がないと感じるケースです。何でも屋になってしまい、特定の領域でのプロフェッショナルではないというコンプレックスです。



複数の視点を持てるのは強みです。営業も企画も知っているというのは、全体最適を考えるポジションでは最強の武器になるんですよ。
実績を数字で語れない
バックオフィス業務などで、売上のような明確な数字目標がなく、自分の成果を定量的に説明できない悩みです。職務経歴書を書く際に手が止まってしまう典型的なパターンです。



数字は売上だけではありません。「処理時間を何分短縮した」「ミスを何件減らした」というのも立派な数字の実績です。視点を変えてみましょう。
優秀な同期や後輩との比較
同期が出世したり、優秀な後輩が入ってきたりして、相対的に自分の能力が低く見えてしまう心理的要因です。客観的なスキル不足というよりは、自己肯定感の低下が原因です。



隣の芝生は青く見えます。他人のハイライトと自分の舞台裏を比べても意味がありません。昨日の自分より成長していればOKとしましょう。
会社自体の将来性への不安
会社の業績が悪かったり、業界が斜陽だったりすると、「この会社で学んだことは他では通用しないのではないか」という不安が、自分のスキルへの不信感につながります。



厳しい環境で生き抜いてきた経験こそが評価されることもあります。「逆境耐性」や「問題解決能力」としてアピールできますよ。
社会人5年目の方が「実は持っている」スキルの見つけ方


「スキルがない」のではなく、「スキルの言語化ができていない」だけかもしれません。棚卸しをしてみましょう。
「当たり前にやっていること」を疑う
あなたが毎日呼吸するように行っている業務の中に、他人にとっては難しいことが隠れています。例えば、複雑なデータの集計、気難しい上司への報告、クレーム対応などです。



自分にとっての「普通」は、他人にとっての「すごい」かもしれません。友人に仕事の話をして「それ大変だね」と言われたことはありませんか?それがあなたのスキルです。
ポータブルスキルに変換する
具体的な業務内容ではなく、それを遂行するために必要な能力(ポータブルスキル)に変換します。「営業」なら「課題発見力」「提案力」、「事務」なら「正確性」「進捗管理能力」といった具合です。



業界用語を一般的なビジネス用語に翻訳する作業です。これさえできれば、異業界への転職でも「即戦力」としてアピールできるようになりますよ。


今からでも間に合うスキルの身につけ方
5年目はまだ若手です。今から新しいことを学んでも十分に間に合います。
現職で新しい役割に手を挙げる
一番リスクがなく確実な方法は、今の会社で新しい仕事を任せてもらうことです。リーダー業務、新人教育、プロジェクト参加など、少し背伸びをする経験がスキルを育てます。



失敗しても給料がもらえる環境で練習できるのは、会社員の特権です。転職する前に、今の会社のリソースを使い倒すくらいの気持ちでいきましょう。
副業・個人活動で小さく始める
会社ではできない経験を、副業やボランティアで補う方法です。SNS運用、ライティング、イベント運営など、興味のある分野で小さく実績を作ります。



最初から稼ごうとしなくて大丈夫です。「会社の看板なしで何かをやった」という経験自体が、自信とスキルにつながりますから。
社会人5年目の方が転職市場で評価されるポイント
社会人5年目に企業が求めているのは、実は高度な専門スキルだけではありません。
素直さと柔軟性
ある程度の経験がありつつも、新しい環境に馴染める柔軟性が求められます。前職のやり方に固執せず、素直に学ぶ姿勢があるかどうかが重要視されます。
「前の会社ではこうでした」は禁句です。「御社のやり方を早く吸収したい」という姿勢を見せることが、採用担当者の心を掴むコツです。
自走力(主体性)
1から10まで指示されなくても、自分で考えて動ける能力です。5年目なら、目標に対して自分でプロセスを設計し、実行できることが期待されます。
「言われたことをやりました」ではなく、「課題を感じてこう改善しました」というエピソードを一つ用意しておくだけで、評価は劇的に変わります。
社会人5年目、スキルなしからのキャリアチェンジ戦略


未経験職種へ挑戦する場合の具体的な戦略です。
軸をずらした転職をする
「業界」か「職種」のどちらか片方だけを変える方法です。「同業界×異職種」または「異業界×同職種」であれば、これまでの経験を活かしつつ新しいスキルを習得できます。
全くの未経験(異業界×異職種)は年収が下がるリスクが高いです。片足は知っている土地に残しておくのが、賢いキャリアチェンジの定石ですね。
ポテンシャル採用を狙う
20代後半なら、まだポテンシャル(将来性)での採用枠があります。意欲と基礎的なビジネススキル(ビジネスマナー、PCスキル、コミュニケーション力)があれば、採用される可能性は十分にあります。
熱意だけで押し切れるのは20代までです。30代になると即戦力を求められるので、未経験に挑戦するなら今がラストチャンスかもしれません。


社会人5年目でやってはいけない3つの行動
焦りからくる行動は、かえって状況を悪化させることがあります。
目的のない資格取得
「とりあえず何か資格を」と、業務に関係のない資格勉強に時間を費やすのは非効率です。資格は実務とセットで初めて価値を持ちます。



資格コレクターになっても市場価値は上がりません。その時間で、今の仕事の成果を上げる工夫をした方が、転職活動ではよほど評価されますよ。
「どこでもいい」という転職
現状から逃げたい一心で、条件を妥協して転職することです。ブラック企業に入ってしまい、さらにスキルが身につかない環境に落ちるリスクがあります。



「逃げの転職」は必ずバレますし、後悔します。次の職場で何を実現したいのか、ポジティブな理由を見つけるまでは動かない方が安全です。
他責思考に陥る
「会社が悪い」「上司が悪い」「教育環境がない」と環境のせいにし続けることです。面接でもその姿勢は透けて見え、敬遠される最大の要因になります。



環境が悪くても、その中であなたが何をしたかが問われます。愚痴を言うより、どう工夫したかを語れる人になりましょう。
これから30代に向けた戦略的キャリア形成
今はスキルがなくても、30代で飛躍するための準備期間と捉えましょう。
一つの分野で100点を目指すのは大変です。例えば、営業で業界トップになるには何年もかかりますし、競合も多く、追い抜かれる不安も常につきまといます。しかし、戦略を変えて「営業×IT」や「経理×英語」のように、複数のスキルを掛け合わせることで希少価値(レアリティ)を高めることができます。
具体的には、「営業経験があり、かつPythonでデータ分析ができる」人材は、営業部門のDX推進で非常に重宝されます。また、「経理の実務経験があり、ビジネスレベルの英語も話せる」人材は、外資系企業や海外進出企業から強く求められます。どちらも単体では珍しくないスキルでも、掛け合わせることで「替えが効かない人材」になるのです。
重要なのは、今持っているスキル(営業、経理など)を捨てるのではなく、それに新しいタグを1つ追加するという考え方です。ゼロから始めるのではなく、今までの5年間の経験を土台にして、横に広げるイメージを持ちましょう。



100人に1人のスキルを2つ持てば、1万人に1人の人材になれます。自分の持っているタグに、何を掛け合わせたら面白そうか考えてみてくださいね。
社会人5年目の方からのよくある質問(FAQ)


Q1. 5年目で転職するのは早すぎますか?
A. 決して早すぎません。むしろ「第二新卒」の枠を超え、一定の社会人経験がある若手として、最も需要が高い時期の一つです。5年という期間は「石の上にも三年」をクリアしており、忍耐力があると評価されやすいです。



5年は区切りとして丁度いいです。「一通り経験して、次のステップに進みたい」という理由は、とても説得力がありますよ。
Q2. スキルがないのに職務経歴書に書くことがありません。
A. 具体的なエピソードを掘り下げましょう。「何をしたか(What)」だけでなく「どのようにしたか(How)」「なぜしたか(Why)」を書くことで、あなたの仕事への姿勢や思考プロセスをアピールできます。



派手な成果がなくても、プロセスを丁寧に書けば評価されます。真面目にコツコツ取り組んだことこそ、あなたの最大の武器になるんです。
まとめ|完璧を求めず、一歩ずつ前進する
社会人5年目で「スキルがない」と悩むのは、あなたが自分のキャリアに対して真剣である証拠です。そして、データが示すように、20代後半は多くの人が悩み、動き出す時期でもあります。
今のあなたに必要なのは、劇的な変身ではありません。まずは自分が当たり前にやっていることを認め、それを適切な言葉で表現すること(言語化)です。そして、もし本当に足りないものがあれば、今から学び始めればいいのです。
この記事のポイント総まとめ
- 5年目で焦るのは正常。多くの人が同じ悩みを抱えている
- 「当たり前」の中にスキルは隠れている。言語化が鍵
- ポータブルスキル(持ち運び能力)に変換してアピールする
- 未経験への挑戦は、柔軟性とポテンシャルが評価される今が好機
- 資格取得より、今の仕事での工夫や実績作りを優先する



焦る必要はありません。5年間の経験は、あなたが思っている以上に、あなたの血肉となっています。自信を持って、次の一歩を踏み出してください。


