有給を使わせてくれない会社は違法!違法なケース・退職前に全部消化する方法

「退職するって伝えたら、有給は消化できないって言われた。これって普通なの…?」

引き止められたあと、「有給は使えない」と一方的に言われて、泣き寝入りするしかないのかと悩んでいませんか?何十日も残っているのに、なかったことにされそうで不安になりますよね。

退職を切り出した後に有給を申請するのは気まずい。その気持ち、よくわかります。でも、その有給はあなたが毎日働いて積み上げてきた正当な権利です。

有給休暇は労働基準法第39条で定められた労働者の権利であり、会社が拒否することは原則として違法です。退職時に有給を消化することは法律上まったく問題ありません。この記事では、会社の対応が違法にあたるケース、退職前に有給を全部消化する具体的な方法、会社が拒否した場合の対処法までわかりやすく解説します。

この記事の監修者

株式会社MEDISITE キャリアアドバイザー

阿部 翔大

目次

有給を使わせてくれない会社は違法!法律で守られているあなたの権利

まず、はっきりお伝えします。有給休暇は労働基準法第39条で定められた労働者の法定権利です。正社員・契約社員・パート・アルバイトなど雇用形態を問わず、一定の要件を満たせば誰でも取得できます。

有給を申請するときに理由を伝える義務はありません。「私用のため」の一言だけでOK。上司に理由を聞かれても、答える必要はないのです。

会社には「時季変更権」という権利がありますが、これは業務に重大な支障がある場合に限り、有給取得の時期をずらすことができるだけです。そして、退職予定者に対しては、退職後に変更先の日がないため、時季変更権は原則として行使できません

もし会社が有給の申請を拒否した場合、労働基準法第39条違反として6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、2019年4月からは年10日以上の有給が付与される労働者に対して、年5日の取得が会社に義務づけられました。違反した企業には従業員1人あたり30万円以下の罰金が科されます(労働基準法第39条第7項・第120条)。

【参考】厚生労働省|年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説

令和6年の就労条件総合調査によると、有給取得率は65.3%まで上昇しています。義務化前の2016年は47.4%でしたから、法整備によって取得率は大きく改善しました。それでも、退職時に有給を消化できないケースはまだ多いのが実情です。

【参考】厚生労働省|令和6年就労条件総合調査

阿部 翔大

退職を伝えた後に有給申請するのは悪いことではありません。むしろ、残っている有給をきちんと消化してから辞めることは当然の権利です。気まずくても、申請していいんです。

会社が「有給を使わせない」と言ってくる典型パターンと反論

退職を伝えた途端に有給消化を妨害してくるケースは珍しくありません。ここでは、よくある5つのパターンと、それぞれの法的な反論を解説します。

「退職するなら有給は使えない」と言われた場合

これは完全に違法です。退職の意思と有給消化はまったく無関係であり、退職するからといって有給が使えなくなることはありません。退職前であっても有給は労働者の権利として使えます。

反論例:「有給休暇は労働基準法で保障された権利です。退職時であっても消化することに法的な問題はありません。拒否される場合は、労働基準監督署に相談させていただきます」

「引き継ぎが終わるまで有給は認めない」と言われた場合

引き継ぎは就業時間内に行うものであり、有給消化の拒否理由にはなりません。引き継ぎと有給は別の話です。引き継ぎ計画を立てたうえで、有給消化期間を設定すればよいのです。

反論例:「引き継ぎについては就業日の中で最大限対応いたします。引き継ぎが必要なことと、有給休暇を消化する権利は別の問題ですので、両立できるスケジュールをご相談させてください」

「有給は買い取るから休まなくていい」と言われた場合

有給の買い取りは原則禁止です(労働基準法第39条)。退職時の残日数の買い取りは例外的に認められる場合がありますが、それは労働者が消化できなかった分に限ります。労働者が「消化したい」と希望すれば、休暇の取得が優先されます。

反論例:「買い取りのお申し出はありがたいですが、私としては実際に休暇として消化したいと考えています。有給消化のスケジュールをご相談させてください」

「今は繁忙期だから有給は無理」と言われた場合

繁忙期を理由にした時季変更権は、通常であれば認められる場合があります。しかし退職予定者に対しては、退職日以降に有給を変更する先がないため、時季変更権を行使できません。繁忙期であっても、退職時の有給消化は拒否できないのです。

反論例:「繁忙期であることは理解していますが、退職予定者に対しては時季変更権は適用されません。法律上、退職前に有給を消化する権利があります」

「退職したら有給は消滅する」と言われた場合

退職日までは有給を行使する権利があります。消滅するのは退職後の話であり、退職日までの間に有給を消化することは問題ありません。退職日を後ろにずらして設定することも可能です。

反論例:「退職日までの間に有給を消化することは法律で認められています。最終出勤日の翌日から退職日まで有給消化に充てたいので、退職日を調整させてください」

阿部 翔大

こういう言い方をされると、思わず引いてしまいますよね。でも法律上、会社の言い分に従う義務はありません。もし強く言えないなら、労働基準監督署や転職エージェントに相談するだけで状況が動くことがあります。

会社の対応が違法かどうか早見表

会社の主張 違法性 根拠
退職するなら有給は使えない 違法 労基法39条違反
引き継ぎが終わるまで認めない 違法 有給拒否の正当理由にならない
買い取るから休むな 原則違法 労働者が消化を希望すれば休暇優先
繁忙期だから無理 違法 退職者に時季変更権は不可
退職したら有給は消滅する 違法 退職日まで行使可能

退職前に有給を全消化するための具体的な手順

「有給を使い切りたいけど、どう進めればいいかわからない」という方のために、具体的な手順をステップごとに解説します。

STEP1:残りの有給日数を確認する

まず、自分に何日の有給が残っているかを正確に把握しましょう。給与明細に記載されていることが多いですが、わからない場合は人事部や総務部に問い合わせてください。

有給休暇の付与日数は勤続年数によって異なります。入社6カ月で10日、1年6カ月で11日、2年6カ月で12日と増えていき、6年6カ月以降は最大20日が付与されます。さらに前年の繰り越し分があれば、最大40日残っている場合もあります。

STEP2:退職希望日から逆算して有給消化期間を設定する

残りの有給日数がわかったら、退職希望日から逆算して有給消化の開始日を決めます。たとえば有給が20日残っている場合、退職日の約1カ月前から有給消化を開始するイメージです。

「最終出勤日」と「退職日」は別物です。最終出勤日の翌日から退職日までを有給消化期間に充てることで、出勤せずに退職日を迎えることができます。

有給20日残っている場合のスケジュール例

退職意思表示
引き継ぎ期間(2週間)
有給消化(20日≒約1カ月)
退職日

STEP3:退職届と有給申請を同時に提出する

退職届と有給休暇の申請書は、同時に提出するのが最も効果的です。口頭だけだと「言った・言わない」のトラブルになりやすいため、必ず書面で記録を残してください。

退職届には退職日を明記し、有給申請書には消化開始日と消化日数を記載します。コピーを手元に保管しておくことも忘れずに。

STEP4:会社が拒否した場合は労働基準監督署に相談する

書面で申請したにもかかわらず会社が有給消化を認めない場合は、管轄の労働基準監督署に相談してください。相談は無料で、全国に設置されています。労働基準監督署が会社に指導・勧告を行うことで、多くのケースが解決します。

阿部 翔大

退職届を出すと同時に有給消化の申請書を添付して提出するのが最も効果的です。口頭だけだと後から言った言わないになりやすいので、書面で残しましょう。メールでも記録になります。

会社が有給を認めなかったときの対処法

どうしても会社が有給消化を認めてくれない場合でも、あきらめる必要はありません。法的に有効な対処法が3つあります。

労働基準監督署への申告を行う

労働基準監督署は、労働基準法違反について調査・指導を行う公的機関です。全国に設置されており、相談は無料です。有給消化を拒否されている事実を伝えると、会社に対して行政指導が行われます。

「会社と揉めるのは嫌だ」と感じるかもしれませんが、匿名での相談も可能です。まずは電話で相談するだけでも、次にやるべきことが明確になります。

【参考】厚生労働省|全国労働基準監督署の所在案内

退職代行サービスを利用する

精神的に会社と直接交渉するのが難しい場合は、退職代行サービスを利用する方法もあります。退職代行サービスは退職の意思表示だけでなく、有給消化の交渉も代行してくれるところがあります。

弁護士が運営する退職代行であれば、法的な交渉も可能です。費用はかかりますが、精神的な負担を大幅に軽減できます。

内容証明郵便で退職届と有給申請を送付する

内容証明郵便は「いつ・誰が・誰に・何を送ったか」が公的に証明される郵便です。退職届と有給休暇の申請書を内容証明郵便で送付すれば、会社が「受け取っていない」と主張することはできません。

郵便局の窓口から送付でき、費用は1,000〜2,000円程度です。出社せずに退職と有給消化の意思を伝えたい場合に有効な手段です。

阿部 翔大

「会社に言いづらい」と感じるのは当然のことです。でも、労基署への相談は匿名でもできます。退職代行も年々利用者が増えています。自分を追い詰めず、使える手段は遠慮なく使ってください。

有給消化しながら転職活動を進めるのがベスト

有給消化期間は、転職活動に充てる絶好のタイミングです。在職中に転職活動を始めることには大きなメリットがあります。

まず、収入が途絶えないため金銭面の不安がありません。有給消化中は給与が支払われるため、焦って転職先を決める必要がなく、じっくりと自分に合った会社を選ぶことができます。

次に、精神的な余裕を持って面接に臨めます。「早く決めなければ」というプレッシャーがないため、面接でも落ち着いて自分をアピールできます。

さらに、在職中であることは交渉力の向上にもつながります。転職先との条件交渉において、「現職がある」という状態は有利に働きます。年収や入社時期の交渉もしやすくなるのです。

弊社のデータでは、在職中に転職活動を始めた方の方が、離職後に始めた方と比べて入社後の定着率が高い傾向にあります。余裕を持って選んだ分、ミスマッチが少ないのです。

阿部 翔大

有給消化期間を「何もしない休み」にしてしまうのはもったいないです。この期間を使って転職エージェントに相談し、自分の市場価値を把握しておくだけでも、次の一歩がずっと踏み出しやすくなります。

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有給消化で退職する人からキャリアアドバイザーによくある質問

Q: 退職日を変えずに有給を全部消化できますか?

A: 退職日までの残り営業日数と有給残日数のバランスによります。有給残日数が退職日までの営業日数を超えている場合は、退職日を後ろにずらすか、最終出勤日を前倒しにする必要があります。退職日の調整が可能であれば、有給を全日数消化してから退職することは法律上まったく問題ありません。

Q: 有給消化中に転職先で働き始めていいですか?

A: 有給消化中はまだ現職の雇用関係が続いているため、就業規則で副業が禁止されている場合は注意が必要です。転職先での勤務開始日は退職日の翌日以降に設定するのが安全です。社会保険の二重加入の問題もあるため、転職先の入社日は退職日の翌日に合わせるのがベストです。

Q: 有給消化中に会社から連絡が来たらどうすればいいですか?

A: 有給消化中に会社から業務連絡が来ても、対応する義務はありません。有給休暇は「労働義務が免除される日」であり、業務に従事する必要はないのです。ただし、引き継ぎに関する確認など、簡単な対応であれば協力するのもひとつの選択肢です。

Q: 退職後に残っていた有給を請求できますか?

A: 退職後に未消化の有給を請求することは原則としてできません。有給休暇は在職中にのみ行使できる権利であり、退職日をもって消滅します。ただし、退職時に未消化分を買い取る合意が会社との間で成立していた場合は、その買い取り分を請求できます。だからこそ、退職前に有給を消化しきることが重要なのです。

まとめ|有給はあなたの権利。退職前にしっかり消化しよう

  • 有給休暇は労働基準法第39条で守られた労働者の権利であり、退職時の消化を会社が拒否することは違法
  • 退職予定者に対して会社は時季変更権を行使できないため、退職前の有給消化は法的に問題なし
  • 退職届と有給申請は同時に書面で提出し、記録を残しておくことが重要
  • 会社が拒否した場合は、労働基準監督署への相談・退職代行・内容証明郵便の3つの対処法がある
  • 有給消化期間を転職活動に充てれば、収入を維持しながら次のステップに進める
阿部 翔大

有給を消化するのは悪いことじゃない。あなたが毎日働いて積み上げてきた権利です。退職前の大事な時間を、次のキャリアへの準備に使ってください。一人で悩まず、まずは相談するところから始めてみてください。私たちはいつでもお待ちしています。

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